本郷の老舗旅館「鳳明館」本館(文京区本郷5)で12月9日・10日の2日間、奈良のオーベルジュ「VILLA COMMUNICO(ヴィラコムニコ)」(奈良県奈良市)がポップアップレストランを開く。
まき火で調理する肉料理のイメージ(写真提供=VILLA COMMUNICO)
ヴィラコムニコは奈良公園内の若草山の麓に位置するオーベルジュ(宿泊施設併設のレストラン)で、2024年9月にオープン。シェフの堀田大樹さんは、2025年のミシュラン奈良特別版で1つ星を獲得。前身のレストラン時代の2022年と2023年にも1つ星を獲得している。奈良の地元食材を使ったまき火料理が特徴で、若草山の山焼きに着想を得た調理法を採用する。
鳳明館は1898(明治31)年創業。本郷の下宿文化を今に伝える木造旅館で、歴史を映す意匠や職人技が随所に残る。建物は登録有形文化財に指定され、当時の文化的景観を伝える貴重な建築として知られる。
今回のイベントは、鳳明館が持つ建築的価値や文化的文脈を、ヴィラコムニコが得意とする「火」を使った料理を通じて感じてもらおうという試み。堀田さんは「奈良県産の食材と歴史ある空間が織りなす『歴史を味わう食体験』を提供する」と話す。
9日のランチはカジュアルなバーベキュースタイルで、奈良県産の「倭鴨(やまとがも)」や「ばあく豚」、大和肉鶏などをメインにビュッフェ形式で提供。10日のディナーは、静かな空間に合わせた7品のショートコースを用意し、アルコール・ノンアルコールのペアリングも提案する。
堀田さんは「鳳明館という歴史ある空間で奈良の料理を提供できることに大きな意味を感じている。奈良では今も奈良時代から伝わる食材が残っており、雄大な歴史を感じる食文化が息づいている。それが鳳明館の趣とよく響き合うと考えた」と話す。「お客さまには、奈良の素材そのものが持つ力、そして空間と料理が一体となる体験を楽しんでほしい」と呼びかける。
ランチは9日12時~で、価格は1万1,000円。ディナーは10日19時~で、価格は1万6,500円。ペアリングは5,500円~。各回20人限定。