文京・小日向のカフェ「Galleria Caffe U_U (ガレリア カフェ ユウ)」(文京区小日向4)で現在、常連客らが存続危機を迎えた店を助けるための支援を呼び掛けている。
カフェを訪れる人が心豊かな人生を共有する場となることを目指し、2006年10月にオープンした同店。「心と体に優しい食と本物のアート」をコンセプトに、店内の天然木の壁面を月替わりのギャラリーとして貸し出すほか、プロによる音楽ライブや管楽アンサンブル、ワイン講座などさまざまなイベントを行い、多くの人が集まる「サロン化」に取り組んできた。一方、採算を二の次にした経営が災いし、開店10周年を間近に迎え資金難に陥っているという。
店主の民谷直幹さんは「一度は閉店を決めたが、常連客らに閉店を知らせると、なんとか続けてほしい。支援を呼びかけてはどうかと提案された」と話す。店を通じて、人生の楽しみを見付けてくれたお客さんのためにもと現在、店を継続するため今回サポーター制度を設け、広く支援を呼び掛けている。
同制度は、プリペイドカード支払いの一部を、飲食代や「サローネ」(イベント・講座)参加代、アート作品購入に充てるシステム。1回に使えるプリペイド額を制限することで息の長い支援を見込む。9月5日の期限までに目標額に到達しなかった場合は当初の予定通り9月末をもって閉店し、プリペイド代として集めた支援金は全額返金するという。
大好きなギタリストのライブをきっかけに、2年ほど前から同店を利用しているという埼玉県在住の吉田美貴さんは「素晴らしい演奏が間近で聴け、来店のたびに本物のアートにも触れられる。都会で天然木に囲まれたアットホームな空間は貴重。素材にこだわったメニューや店主の人柄のよさにもいつも癒やされていた。この店がなくなってしまうなんて考えたくない」と話す。
同店で月1回のペースで開いている「管楽アンサンブル演奏会」メンバーの財谷郁子さんは「4年前、職場と家を往復する生活の中で何か楽しめるものが欲しいと思っていた時、通勤ルートにあったこの店にふらりと立ち寄って演奏会のチラシを見付けた。観客として訪れた演奏会の場で誘われ、今では演奏者。年齢も背景も異なる仲間との活動は得難い。そんな出会いをいただいた店にはぜひ継続してほしい」と話す。
同会メンバーの佐藤恵子さんは、静岡県から同区に単身赴任中。「知り合いのいないこの地域に引っ越してきて寂しく感じていた時、たまたま会社帰りに立ち寄ったらとても温かく迎えてもらった。ワインを飲みながら店主に話を聞いてもらうこともあれば、講座に参加することもある。静岡に暮らす夫も『この店が近所にあるなら安心』と言ってくれるほど。地域住民の憩いの場としてかけがえのない店になっている。期限は迫っているが、ぜひともサポーター制度を多くの人に知ってほしい」と呼び掛ける。
「個展やサロンコンサートを通じて参加者同士が仲良くなったり、アーティストの人が別のアーティストを紹介してくれたりして新たな企画が決まるなど、店を介した人のつながりがようやく築けてきたところ。閉店してしまうことで、そうした皆さまの絆が途絶えてしまうことをとても申し訳なく思っていた」と民谷さん。
妻の愛希子さんも「今回の事態を招いたことは自分たちの力不足以外の何ものでもなく心苦しいが、『ユウがあって良かった』『自分のたのしみが広がった』『ここに来ると豊かな気持ちになる』などの言葉に支えられている。今を乗り越えて店を継続することができたら、より良い場を作ることで支援してくださった皆さまの気持ちに応えたい」と話す。
同店への支援は、店内とメールで受け付ける。