跡見学園女子大(文京区大塚1)で4月12日、成澤廣修文京区長による授業「ぶんきょう学」が始まった。同大観光コミュニティ学部の3、4年生を主な対象に、7月までの全15回の講座の講師を区長が務める。
同大の所在する同区をフィールドとして、歴史や文化、地域、人々の暮らしから見えてくる都市コミュニティーにおける政策課題を発見、検証。授業を通じて地域課題解決のための政策を創造するのが狙い。初回のテーマは「区政の現場からみた『文の京』の現状と課題」で、履修を検討する約60人が受講した。
冒頭では同区の基本データをスライドで投影し概要を説明。大学数(短期大学含む)や区民1人当たりの図書館の本の貸出数、選挙の投票率、刑法犯認知件数の少なさなど、いずれも23区中1位であることを示すと教室では感心の声が上がった。さらに、江戸の歴史から続く文化的背景や少子化対策などにも言及し、区長の視点で同区が紹介された。
授業の構想は同学部が創設された2015年にさかのぼる。同大の山田徹雄学長らが区長を訪問し、学部創設の報告とともにキャンパスがある地域をテーマに授業を行いたいと「ぶんきょう学」の授業構想を伝えた際、区長自ら講師に名乗りを上げ実現に至ったという。
成澤区長は「次回からはグループ討議も予定しており、区政にフィードバックできるような、びっくりするアイデアが出ることを楽しみにしている」と期待を寄せた。
同学部コミュニティデザイン学科3年の受講生は大学進学を機に福島県から上京し、同区内の大学寮で暮らしたこともあるといい、「東京で初めて暮らした地について知ることができる授業で、地元・福島県の復興の参考になればと思い選択した」と話していた。
今後、より具体的な事例を通じて空き家対策や子育て支援、子どもの貧困などのテーマにも触れ、地域政策やコミュニティーについて学習する。商店街や区内コミュニティースペースなどでのフィールドワークも予定している。