文京シビックセンター1階のギャラリーシビックで現在、「歓迎!本郷旅館街~100軒のおもてなしがつくったまち~」展が開催されている。
「朝陽館」本家の種田守孝さんと文京建築会ユースの栗生はるかさん
「文京区の魅力を『発掘』『発信』し、『新たに作り出す』集団。」をコンセプトに活動を続ける文京建築会ユースが企画。
「菊富士楼」「菊富士ホテル」で有名な羽根田家、髙橋家に続き、1904(明治37)年に岐阜から上京した種田朝太郎創業の「朝陽館」の成功が先駆けとなって同郷から担い手が続き、学生街の下宿屋と混然一体となって発展したという本郷の旅館街。かつては100を超える旅館が軒を連ねていたという。同展では、昨年惜しまれながらも閉館した「朝陽館」の記録や使われていた品々、同館の一室にこもって執筆したという手塚治虫のエピソードなどを披露。当時の風情を保ち続ける現役旅館「鳳明館」も紹介する。
文京建築会ユースの栗生はるかさんは「昔、修学旅行で泊まったとか、ここの店主を知っているなど、地方から来場した方の話を多く聞き、この地域だけの話題ではないと気付いた。日本の歴史の一端を感じる」と話す。
「朝陽館」に宿泊した経験を持つ瀬川智子さん母娘は「近所に暮らしていた時はさほど関心を持っていなかったが、昨年閉館が決まったと聞いて宿泊し、ぜいたくで素晴らしい旅館だったことを知って驚いた。(展示を見て)その時の感動がよみがえるとともに、あらためて現存しないことに気付かされて寂しい気持ちになった。こうした歴史ある建物が無くなっていくことは本当に残念。この貴重な資料を日本中の人に見てほしい」と話す。
開催時間は10時~18時。入場無料。今月16日まで。