文京シビックホール(文京区春日1)で11月17日・18日、第13回文京地域支援フォーラム「ダイアログ・イン・ザ・ダーク ショーケース in 文京」が開催され、抽選で選ばれた約190人の区民が参加した。同区主催。
完全に光を遮断された漆黒の暗闇の中へグループを組んで入り、「暗闇のエキスパート」である視覚障がい者のアテンドの下、さまざまな体験を行うことで、参加者同士のコミュニケーションを図る同イベント。ダイアローグ・ジャパン・ソサエティとの協働で、同ホール地下の多目的室に特設した暗闇空間で行った。
参加者は8人1組のグループとなり、白杖を持って暗闇に入る。視覚を閉ざされた環境で、輪になって簡単な自己紹介をした後、音のするボールを転がしてキャッチボールや、芝風の床に寝転んで星空のイメージを共有する対話、ハンドベルでの合奏などを試みた。
体験後の参加者からは「暗闇が怖いのではなくて、何があるか分からないことが怖いと分かった」「視覚を閉ざされたことで、他の感覚が研ぎ澄まされたように感じた。この感覚を日常でも時々意識してみたい」「初対面同士のグループ行動だったが、プログラムが進むにつれ信頼感が増していくことが実感できた」などの感想が上がった。
アテンドを務めた北村多恵さんは同プログラムに関わって5年ほど。「ダイアログに参加した人の個々のキャラクターが物語をつくるので毎回異なる世界観が生まれる。どれだけみんなの中に埋もれることができるか、なじめるかが楽しめるポイント」と話す。
同フォーラムは2012年、障がいのある人もない人も共に安心して生活できる共生社会の実現を図るための取り組みとして始まった。講演会中心から体験型にシフトし、最近では障がいの有無にかかわらず楽しめる劇場体験やブラインドサッカー体験などを行っている。
今回の発案者は入庁5年目の区職員、障害福祉課の宮川美帆さん。「障害福祉を担当して初めて障がい者理解について身近に考えるようになった。新しい感覚でアプローチしているダイアローグ・ジャパン・ソサエティの取り組みを知り、ぜひ区民の方にも体験してほしいと思い、1年以上かけて区に合わせたプログラムを考えた」と話す。
同課係長の中澤功志さんは「これは全盲体験ではなく、コミュニケーションへの理解を深めるプログラム。視覚を閉ざされた時に、残された感覚でどうコミュニケーションを取るかを参加者にも体感してほしい」と話す。「障がい者に対して正しい理解をしていけば差別は無くなるはず。(障がい者と)接する機会があれば理解は深まる。身近なところからのきっかけ作りが大切。その一助となれば」とも。
前日16日には、職員研修として区長をはじめ区職員や区議会議員なども体験した。