文京・根津観音通りで10月14日・15日、住民参加型イベント「根津・営みの美術館 2023」が開催された。
今年で25回目となる「根津・千駄木下町まつり」のサブ会場として、根津観音通り商店会、武蔵野美術大学、ギャラリーカフェ「ねづくりや」が主催した同イベント。昨年初開催した「暮らしの美術館」に続く企画として計画を進め、同大の学生らが地域の拠点に7週間滞在して町の人々との対話を重ねながら開催にこぎ着けた。
当日は、学生たちが根津のまちで体験し得た学びを「根津らしさ」として、展示作品やワークショップ、パフォーマンスなどで表現した。車庫や軒先、空き地、室外機の上など、さまざまな場所を展示スペースに見立てて30組以上が出展し、約5000人が来場した。
「ねづくりや」店主の鶴元怜一郎さんは「イベント終了後に通行止めをした観音通りの中央で、すべて持ち寄りでお金を介在させない『観音の宴』も行い、近隣住民との距離もさらに縮まった」と振り返る。「このイベントをきっかけに、根津の町により関わっていきたい」とも。
同大教授の若杉浩一さんは「商店会の空き家をリノベーションして住み、街の再生を卒業研究にした鶴元さんが卒業後に『ねづくりや』を立ち上げた。さらに根津に住み続けて火をともし、そこに学生たちが集まり、根津の一員としてまちや人に触れた。ここにある営みの美しさの存在が、表現と対話を繰り返すうちにやがてこの地の美意識として心に宿るのでは」と話す。