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小石川で「輪島の漆応援展」 被災した漆器を再生して販売

「スペースたかもり」店主の高森寛子さん(左)と「輪島キリモト」の桐本泰一さん(右)

「スペースたかもり」店主の高森寛子さん(左)と「輪島キリモト」の桐本泰一さん(右)

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 文京区小石川の「スペースたかもり」(文京区小石川5)で9月12日~27日、輪島の漆応援展「作り手たちの現在(いま)」が行われた。

「スペースたかもり」の会場の様子

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 輪島塗の工房「輪島キリモト」(石川県輪島市)の桐本泰一さんが主催する「輪島塗Rescue&Rebornプロジェクト」の取り組みを紹介したほか、秋山祐貴子さん、輪島キリモトの桐本泰一さん、福田敏雄さん、山口浩美さん、吉田宏之さんの5人の作品を展示・販売。会場では器を手に取り、漆独特の質感も体験できるようにした。金曜・土曜のみ開き、26日・27日には輪島キリモトの桐本泰一さんが在廊し、「輪島のこと」をテーマに話した。

 会場には、明治時代から昭和初期にかけての古い輪島塗を現代の暮らしに合うよう色合いを変えた器を並べた。「もともと鮮やかな朱色だった器を日本産の漆を重ね塗りすることで、赤ワインのような深みのある色に仕上げた。透明感のある透き溜(すきどめ)という色にすることで、今の暮らしの中でもっと使いやすくなる」と桐本さん。

 展示品の多くは地震で廃棄される予定だった器を譲り受け、修復したもの。輪島市から直接連絡を受けて軽トラックで回収に向かうほか、町全域の一般家庭からも持ち込まれた。桐本さんは「もったいないという思いから始めた活動だが、単に救い出した器をそのまま販売するのではなく、再生することで職人に仕事を回すことができる。地域の循環が起こる」と地域復興への思いを語った。「生まれ変わらせることで輪島塗の機能を伝えるいい機会にもなった」と話す。

 輪島塗は江戸時代から続く下地技法により、150年以上前の器でも修復が可能。「日本産漆は粒子が大きく奥行きが出る」と桐本さんは説明する。

 主催した「スペースたかもり」店主で28年間にわたって漆の普及活動を続ける高森寛子さんは「作り手と使い手をつなぐ活動として、漆の良さを知らない人に実際に触って、使って体験してもらいたい。輪島の漆職人の技術と復興への思いを多くの人に知ってもらえれば」と話す。

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