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本郷「東京都水道歴史館」で特別企画展 江戸上水の史跡を紹介

今回の企画展を担当した学芸員の金子智さん

今回の企画展を担当した学芸員の金子智さん

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 本郷の「東京都水道歴史館」(文京区本郷2)で10月25日、江戸時代の水道史をテーマにした「遺された江戸上水の史跡をめぐる ~令和7年度上水記展~」と水道歴史展「記録写真で振り返る淀橋浄水場-廃庁60年-」が始まる。

「江戸上水の史跡をめぐる」企画展のチラシ

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 「上水記」は1791年に完成した江戸時代の上水の記録で、東京都指定有形文化財(古文書)に指定されている。3部製作したが、全10巻が全てそろった状態で現存するのは同館所蔵品のみ。中でも第2巻の「玉川上水水元絵図并諸枠図」は、現在も多摩川の同じ場所にある「羽村取水堰」の江戸時代当時の様子を縦135.5センチ×横514センチの大紙面に精緻かつ鮮やかに描いた価値ある史料。今年は史跡玉川上水をはじめ、江戸の人々の生活を支えた上水の現在に残された痕跡を写真や関連資料で紹介する。

 文京区になじみ深い神田上水についても取り上げる。「関口」「水道」「水道橋」といった町名の由来となる上水道の痕跡を紹介し、江戸時代から地域と共に歩んできた水道の歴史を伝える。

 同時開催の水道歴史展では、東京近代水道の第一歩となる淀橋浄水場を取り上げる。1898(明治31)年に東京市内への給水を開始し、長く東京水道の中核施設として使われた。完成当初から本郷にある給水所へ水を送っていた。1965(昭和40)年3月31日に約70年の歴史に幕を下ろし、現在の西新宿エリアは新宿副都心として発展した。今回は明治から昭和期に撮影された場内の貴重な記録写真をパネル化し、創設期の場内の様子を掲載した刊行物も特別に展示する。廃止から60年を迎えたことを記念した企画。

 今回の企画展を担当した学芸員の金子智さんは「上水記の実物公開は年に1回、この機会のみ。入館無料なので、ぜひこの機会に足を運び、江戸時代から続く東京水道400年の歴史を体感してほしい」と来館を呼びかける。

 開催時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。27日は臨時開館。11月3日まで。

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