東京都営バス営業所の中で最も古い歴史をもつ「巣鴨自動車営業所大塚支所」(通称:大塚車庫、文京区大塚1)が、3月29日をもって長い歴史の幕を閉じた。
大塚車庫は、1924(大正13)年1月18日に仮設の大塚派出所・車庫として開設。1928(昭和3)年9月29日に現在の場所に移転し、今年で87年目。建物は市電の車庫として利用されていたものをほぼ受け継ぐ形で使用されており、むき出しの電線など一部にその名残が見られる。
3月7日には「大塚車庫の記憶」と題して、都バスファン向けにお別れイベントを開催。戦前に築造された格納庫の公開や、現在ではあまり見ることのできない幕車を複数展示した。そのほか都営バス部品の数量限定販売や「大塚車庫懐かしミステリーツアー」など、会場は多くの人でにぎわった。都交通局の担当者は、「当初は都バスファンを中心に500人ほどの来場予想をしていたが、当日は1500人を超える人に来場いただいた。家族連れも見られ、多く方に都バスや大塚車庫に触れていただけた」とうれしい悲鳴を上げた。
3月29日23時24分、同車庫に戻ってくる最後のバスを迎えようと、深夜にも関わらず多く人が集まった。定刻を少し遅れ最後のバスが到着すると、同支所のスタッフから「長い間、本当にありがとうございました」と最後の利用者や集まった人たちに声が掛けられ、現場は拍手に包まれた。
今後、同支所は巣鴨自動車営業所(豊島区巣鴨2)へ統合。これまで運行していた「大塚駅~錦糸町駅間」「池袋駅東口~上野公園間」は、引き続き運行する。「大塚車庫前」停留所も、「窪町小学校」停留所と名前を変えて継続する予定。廃止された後の同建物・敷地の活用については未定。