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森鴎外記念館で特別展「最後の4年間」 公文書と私的資料で業績たどる

森鴎外 1917年撮影 文京区立森鴎外記念館蔵

森鴎外 1917年撮影 文京区立森鴎外記念館蔵

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 文京区立森鴎外記念館(文京区千駄木1)で10月11日、宮内庁宮内公文書館との共催による特別展「鴎外、最後の4年間-帝室博物館総長兼図書頭・森林太郎」が始まる。軍医を退任後の森鴎外が帝室博物館総長兼図書頭として尽力した最後の4年間の業績を、公文書と私的資料の2つの側面から紹介する。

特別展「鴎外、最後の4年間―帝室博物館総長兼図書頭・森林太郎」チラシ(表)

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 明治・大正の文豪として知られる森鴎外(本名・森林太郎、1862~1922)は、陸軍軍医の最高位である陸軍軍医総監を務め、1916(大正5)年に退官。翌1917(大正6)年に宮内省の帝室博物館総長兼図書頭に任命された。鴎外は上野の東京帝室博物館(現・東京国立博物館)と宮内省図書寮の責任者として、展示品の時代別陳列や研究紀要の発刊など運営改善に精力的に取り組み、皇統譜登録や古文書の管理などにも努めた。

 同展では、1922(大正11)年に在任のまま亡くなるまでの足跡を、宮内庁宮内公文書館が所蔵する宮内省の公文書と、同館が所蔵する原稿や書簡、遺品などからたどる。官僚と文学者、2つの顔を持った鴎外の最後の姿に光を当てる。

 主な展示資料は、就任時の人事を記した公文書や、漢文体で一日も欠かさず書かれた自筆の日記「委蛇録(いだろく)」からは、博物館と図書寮へ交互に出勤する勤務の様子がうかがえる。このほか、天皇の贈り名についてまとめた自筆原稿「帝謚考(ていしこう)」や、奈良への出張中に当時9歳の次女・杏奴(あんぬ)へ鹿の絵を描いて送ったはがきなども展示。宮中の儀礼で着用した「大礼服」は、所蔵する島根県の森鴎外記念館(津和野町)以外で初公開となる。

 同館の展示担当者は「当館としては初めての共催展。なかなか見る機会が少ない宮内公文書館所蔵の公文書類と当館所蔵資料から、鴎外が携わっていた業務をひもといていく。鴎外が宮内行事の際に着用した大礼服も特別に展示するので、この貴重な機会にぜひご覧いただければ」と呼びかける。

 会期中には、専門家を招いた講演会や学芸員によるスライドトークなども行う。

 開館時間は10時~18時。観覧料は一般600円(中学生以下無料)。2026年1月12日まで。

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