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湯島のフレンチ「アターブル」店主が「野ウサギ料理」世界大会優勝 日本人初

表彰台の中央でトロフィーを掲げる中秋シェフ(中央)(写真提供:The World Championship of Lievre a la Royale)

表彰台の中央でトロフィーを掲げる中秋シェフ(中央)(写真提供:The World Championship of Lievre a la Royale)

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 湯島のフランス料理店「アターブル」(文京区湯島3)オーナーシェフの中秋陽一さんが10月25日、フランス・ソローニュ地方で行われた野ウサギを使ったジビエ料理のコンクール「リエーブル・ア・ラ・ロワイヤル世界大会」で優勝した。同大会での日本人の優勝は初めて。

世界大会で優勝した中秋シェフの作品「リエーブル・ア・ラ・ロワイヤル」(写真提供:The World Championship of Lievre a la Royale)

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 リエーブル・ア・ラ・ロワイヤルは「野ウサギの王家風」を意味するフランスの伝統料理。歯を失ったルイ14世のために考案されたとされ、野ウサギの肉をフォアグラやトリュフと共に赤ワインで長時間煮込んで作る。準備に10日ほどを要し、内臓や血液を使ってソースを仕上げるなど、ジビエ料理の最高峰ともいわれている。

 同大会は2016(平成28)年、パリのレストラン「ラローム」のトーマ・ブローシェフが創設し、今年で8回目を迎えた。今回はフランス、日本、カナダ、ベルギーから予選を勝ち抜いたファイナリスト12人が出場。持ち込んだ食材を使い、1時間で9皿を仕上げて審査が行われた。

 中秋さんは1981(昭和56)年東京生まれ。服部栄養専門学校を卒業後、都内レストランを経て渡仏し、4年半にわたり星付き店などで研さんを積んだ。2021年の「パテ・クルート世界選手権」では3位に入賞している。

 日本では野ウサギの流通量が極端に少なく、入手困難な環境にある中、中秋さんはフランス産と日本産の野ウサギを組み合わせた「ハイブリッド」な構成で挑んだ。

 今回の勝因について、中秋さんは独自の調理法を挙げる。筒状にした肉の周りにパスタを巻き付けることで、カットした際に断面が崩れず、真円に近い美しい形状を保つ工夫を施した。「過去の大会を見ても、周りにパスタを巻くスタイルの人はいなかった。審査員の目を引くためにも、人がやっていないことをやりたかった」と振り返る。付け合わせには、大会テーマである「野菜と果物」に合わせ、根セロリとリンゴのタルトタタンを添えた。

 今回の優勝について、中秋さんは「業界の仲間たちと伝統的なフランス料理の継承をテーマに活動しており、ここまで来たなら世界一を取りたい思いがあった。名誉ある賞を頂き光栄」と話す。

 同メニューの店舗での提供は、野ウサギの入荷が不安定なため、事前の問い合わせが必要。

 営業時間は17時30分~22時30分。日曜定休。

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