千駄木の森鴎外記念館(文京区千駄木1)で1月18日、コレクション展「鴎外と子どもたち-於菟(おと)、茉莉(まり)、杏奴(あんぬ)、類(るい)が語るパッパ」が始まる。
4人の子どもたちによる随筆集。左上から時計回りに於菟『木芙蓉』、茉莉『父の帽子』、杏奴『晩年の父』、類『鴎外の子供たち』
森鴎外は3男2女に恵まれ、次男・不律(ふりつ)は早世したが、長男・於菟、長女・茉莉、次女・杏奴、三男・類は鴎外の深い愛情を受けて育った。1922(大正11)年に鴎外が60歳で死去した後、4人は父への思いを胸にそれぞれの人生を歩んだ。 昭和に入ると執筆依頼が増え、4人はそれぞれの言葉で、文学者や軍医ではない、「パッパ(家族が呼んだ愛称)」としての姿を語り始めたという。
同展では、子どもたちの随筆に見える父親としての鴎外を紹介。於菟や杏奴の遺族から寄贈された同館所蔵の遺品を、子どもたちの回想と共に展示する。出品資料は、杏奴が詠んだ短歌に鴎外が朱筆で添削した草稿や、於菟が遺品寄贈の経緯を記した随筆「砂に書かれた記録」、類が夢の中で鴎外と散歩する様子を描いた「散歩」の自筆原稿など。
会場には、鴎外が家族の仲を案じて購入したといわれる「双六(すごろく)盤」や手作りの教科書、中央に鴎外の筆で名前が記された杏奴の「そろばん」なども並べる。
同展を担当する学芸員の三田良美さんは「鴎外が奈良への長期出張の際、別れを惜しんで涙する当時9歳の杏奴にキューピー人形を買い与えたエピソードがある。翌日には奈良から『キューピーはまだこわれませんか?』と杏奴を気遣う内容のはがきを送っており、子どもに寄り添う優しい父親であったことが想像できる。当展では、その実物も展示する」と話す。「子どもたちの著書だけでなく、4人の個性が垣間見える自筆原稿や、父としての愛情を感じられる資料に注目してほしい」と呼びかける。
関連イベントとして2月22日、作家の太田治子さんを講師に招いた講演会「父と子」を行うほか、学芸員によるギャラリー解説も予定する。開幕日から展示解説などを収録したミニ展示ガイド(300円)を販売。1月19日は鴎外164回目の誕生日を記念し、観覧無料とする。
開館時間は10時~18時(最終入館は17時30分)。1月26日・27日、2月24日~26日、3月23日・24日は休館。観覧料は一般300円(中学生以下無料)。3月31日まで。