文京・向丘の郁文館夢学園(文京区向丘2)とその周辺で1月21日、歴史を学びながら地域をきれいにするボランティア清掃活動「文京区湯けむりおそうじwith漱石」が行われた。NPO法人「グリーンバード」中央大学チームと同大の学生団体「りこボラ!」の主催。
当日は、夏目漱石の「吾輩は猫である」に登場する「落雲館中学校」のモデルとなった同学園をスタート地点とし、漱石ゆかりの場所を巡りながら18人の学生らがゴミ拾いをした。同学園の近くにある猫の像が設置された漱石旧居跡(向丘2)、漱石が愛した和菓子店「一炉庵」、漱石もゴミを拾いながら訪れたという根津神社、「D坂」の由来である団子坂を登って光源寺でそれぞれゴミを拾い、銭湯「ふくの湯」で「自分たちもきれいになって」ゴールした。
活動のきっかけは昨年11月、同区社会福祉協議会主催のイベントで、同大生と同学園の高校生がそれぞれの活動発表をしたことから、共同での自主計画への取り組みが始まった。
同チーム副代表の田中瑠海さんは「ポイ捨てしづらい雰囲気を広めることが狙い。環境活動に関心がない人でも気軽に楽しんで参加できるよう、清掃活動をちょっとおしゃれに、かっこ良くできるよう心掛けている」と話す。「今回は高校生の自由な発想を形にするお手伝いができてワクワクした。下見を含めて街歩きをする中、落ち着いた雰囲気の同区がますます好きになった。高校生とのコラボ企画も今回限りではなく、継続できるようにつながりをつなげていきたい」とも。
同企画を担当した同学園の岩澤昴さんは「企画者にしか感じられない苦労や大変さを味わえたことがイベントを企画する醍醐味(だいごみ)。ゴミ拾いをテーマに趣旨を明確にする作業は意外に難しく、面識のない大人に協力依頼の電話をかけるのも緊張した。当日前夜は悪夢を見るほど不安だったが、グリーンバードやりこボラをはじめ多くの協力者を得て無事終えることができた。人や社会を巻き込むこと、自分の思いを伝えることの難しさを学べた」と振り返る。「自分から踏み出してみると、小さくても、意外と世界は変えられるかもしれない」と岩澤さん。