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トーキョーアーツアンドスペース本郷で企画展「停滞フィールド」始まる

「広瀬菜々&永谷一馬」の作品

「広瀬菜々&永谷一馬」の作品

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 文京の「トーキョーアーツアンドスペース本郷(TOKAS)」(文京区本郷2)で2月22日から、企画展「停滞フィールド」が開催されている。

アーティストトークの様子

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 若手アーティストの育成支援機関として、公募展や企画展、海外派遣などを通じてアーティストの継続的支援や活動紹介に取り組むTOKAS。同展示は、2018(平成30)年度から始まった企画「ACT(Artists Contemporary TOKAS)」の一環で、これまでにTOKASの支援プログラムに参加したアーティストを中心に、「今注目すべき活動を行っている」アーティストにより構成する。

 担当学芸員の鬼頭早季子さんは「『停滞フィールド』とは、SF小説やゲームなどで使われる言葉で、時間が停止しているか、また極度に遅延され、物体が停止しているように見える領域を指す。時間が止まり結晶化することで凝視できる、あるいは遅くなることでゆがみが生じる特殊な場所での体験は、既存の考えやこれまでの感覚を変化させる転機となるかもしれない」と話す。

 ドイツに移住して制作を続けるユニット「広瀬菜々&永谷一馬」は、身の回りの物から型をとり焼成した数百個の磁器からなるインスタレーション「Still life」を展示する。22日に行われたアーティスト・トークでは「毎日が同じことの繰り返しであったり、同じものを見ていたりすると思いがちだが、同じことというものは存在せず、その時その時で異なっているということを示せたら」と話した。

 都内で活動する渡辺豪さんは、新作の映像インスタレーションを発表。床に積み上げられた書籍や洗濯物の山を撮影し、3DCGアニメーションに起こし、それぞれの対象物が持つ光源や時間の流れを分解、再構築して「実際ではありえない光景」を表現する。「日常に目にしている物事に対する認識への疑問と興味から制作を行っている」と渡辺さん。

 大阪を拠点に活動する画家の田中秀介さんは「新たに遭遇した風景」を描いた。「普段の生活で目にした光景や印象に残った対象を、自身がその時その場で受けた衝撃や感情をそのまま絵画に表現しようと試みた。意図的に構図をゆがめたり、焦点をぼやかしたりすることで、何を指し示しているかわからないようなものを、何かを指し示すものへと変化させたい」と話す。

 鬼頭さんは「本展で紹介する3組のアーティストは、普段の生活で私たちが当たり前のこととして見過ごしがちな物事をすくい取り、さまざまな媒体によって表現している。どの作品も、身の回りにある日常の一瞬を閉じ込めて形に示すことで、私たちに新たな気付きを促してくれている」と話す。

 開館時間は11時~19時。月曜休館。入場無料。3月22日まで。

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