文京・本駒込のアートギャラリー「Ohshima Fine Art(オオシマ・ファイン・アート)」(文京区本駒込4)で10月16日、春草絵未(はるくさえみ)さんの個展が始まった。
本駒込図書館に隣接する公園向かいのガレージを改装して、今年1月にオープンした同ギャラリー。主宰者の大島義之さん自ら手掛けたというペンキ塗装の内壁が目を引くスペースに4作品を展示している。
「大学時代は日本画専攻だった」という春草さん。今回の展示作品は「キャンバスにアクリル絵の具で描いた後に、オイルパステルで線画を重ねて絵作りをした」と話す。「線の強弱で立体や空間を見せることから、たどり着いた描き方。日本文化の背景をより学んで描きたいとの考えもある」とも。
個展のテーマは「彼方(かなた)の風が?を撫(な)でる~風なびく奏でる時のひずみから宙のあいだに浮かぶ空白~」。「(祖父母や母の死、わが子の誕生などを経て)いつまでも続くと思っていた当たり前の日常が節目節目で変化していくことで、より一層身体にまとわりつくようになった輪廻(りんね)や死生観にもつながることとして、探求し続け創作の核としている」と春草さん。
大島さんは「春草絵未の3年半ぶりとなる個展。浮遊する草木や花や金魚を、転写の手法により、時間と空間を自在に行き来する蜃気楼(しんきろう)のような浮遊感や前後左右や奥行きなどの平衡感覚を失うような空間軸を描き出すことに成功している」と話す。「短歌を創作の一部として取り入れている点は、作家自身が過去からつながり今を生きるという感受性に沿ったものであると言える」とも。
開催時間は13時~19時。日曜・月曜・火曜・祝日定休。11月6日まで。