文京シビックセンター(文京区春日1)で12月2日、「アートウォールシビック」の12月展示「誰も通らない廊下だけど密(ひそ)かに藝(愛)が育まれてるんだぜ展2」が始まった。
「藝を育むまち同好会」と「リアン文京」の子どもたちによる共同作品
「アートウォールシビック」は、文京区が若手芸術家への支援の一環として、地下1階アトリウムを囲む回廊をギャラリーとして提供するもの。創作意欲向上のための発表機会と、シビックセンター来庁者に向けて身近に芸術と触れ合える場を提供する目的で行う。
出展者は、湯島・上野・御徒町かいわいの商店主らと若手アーティストによる「藝(げい)を育むまち同好会」で、昨年に続く2度目の出展となる。
参加アーティストは、キュレーターを務めた一ノ瀬健太さんをはじめ、現代美術家の佐々木怜央さん、美術作家の伊藤久美子さん、作家のツルタシュリさん、西田義孝さん、實ル(みのる)さん、書家のうどよしさんら。一ノ瀬さんらアーティストが区内の障がい者支援施設「リアン文京」と行ったワークショップで仕上げた共同作品も並ぶ。
同会代表の大道寺勇人さんは「タイトル通り、なかなか『誰も通らない廊下』だが、区内屈指の住宅街と六本木、銀座などのアート拠点や繁華街とをつなぐ中心にある文京シビックセンターの場所的ポテンシャルは高い」と話す。「昨年、展示のために制作した作品はその後、京都の仁和寺でも展示されるなどの広がりも見られ、展示場所があるから生まれるアートがあるとも感じている。これから羽ばたいていく若手アーティストたちの活躍を追って見ていてほしい」とも。
リアン文京でのワークショップについて、一ノ瀬さんは「利用者さんが自分の顔を覚えていて、タッチしてくるのがとてもうれしかった。『アリの巣』をテーマに作品を制作し、子どもたちのあふれるパワーに圧倒された。巣の中には池、鉄道、果てはアイドルのステージがあるなど、斬新で想像力豊かな発想があふれていた」と振り返る。「今回、その共同作品も展示し、われわれが文京区で活動する場を少しずつ作っていけていることを実感している」とも。
「アーティストと子どもたちの共同作業となる活動を今後も継続し、これまでにない新しい価値のある創作物が生まれることを楽しみにしている」と一ノ瀬さん。「今回の展示で、人間の持つ可能性や創造力はアーティストに限られたものではなく、多くの市民が皆兼ね備えているということを広く共有されたら」と期待を込める。
開催時間は区役所の開庁時間に準じる。入場無料。今月27日まで。