
お茶の水女子大学(文京区大塚2)が3月20日、付属幼稚園・いずみナーサリー・区立お茶の水女子大学こども園を会場に「第9回お茶大こどもフォーラム」を開催した。全国からの乳幼児教育・学校教育・子育て支援関係者約125人と実行委員35人が集い、保育への情熱を分かち合った。
今年のテーマは「保育を語り合う」。創刊124年を迎える幼児教育研究誌「幼児の教育」を題材に、参加した関係者は保育の歴史と未来について議論を交わした。併せて、日本独自の文化である紙芝居の魅力について学ぶ講演も行った。
フォーラムは2部で構成。前半の分科会では、「保育を語り合おう! 子どものこと・自分のこと」をテーマに、6つの保育室に分かれ、参加者は「つくる」「つながり」「居場所」について、互いの実績や思いを語り合った。
後半の全体会では、「幼児の教育」編集長の刑部育子教授と編集委員の西隆太朗教授が登壇。最新号の紹介とともに、同誌が長年提唱し続けている保育の理念について語った。
童心社(千石4)取締役編集長の橋口英二郎さんが「子どもたちに豊かな文化を! 紙芝居の魅力再発見」と題して講演。橋口さんは、紙芝居が日本独自の文化であること、読み・書き以前の子どもにとって、絵を見て、言葉を聞くことで絵本の世界を楽しめる貴重なメディアであることを話した。
「紙芝居は、演じ手の抜き方や差し込むタイミングによって、物語が生き生きと展開する。参加型の紙芝居では、登場人物に呼びかけることで、相手の気持ちを想像し、寄り添う体験を自然に積むことができるものがある」と橋口さんは話した。
実行委員長の宮里暁美教授は「保育には困難や課題もあるが、新たな可能性を切り開こうとする人々が大勢いる。この事実にこそ希望がある」と参加者にエールを送った。
宮崎県から参加した宮崎学園短期大学付属みどり幼稚園の新名里美さんは「今年は11人で参加した。ここで得た学びを地元に持ち帰り、保育の現場に還元したい」と意気込みを見せた。
会場では、書籍販売や施設見学も実施。区立お茶の水女子大学こども園では「つくる」をテーマにした展示・説明が行われ、参加者の関心を集めた。