
文京区内の障害者施設で制作されたアート作品を紹介する「Art Brut Bunkyo(アールブリュット文京)展」が9月12日~15日、文京シビックセンター(文京区春日1)「ギャラリーシビック」で開催された。
アールブリュットとは、美術の専門的な教育を受けていない人々による、既存の美術潮流にとらわれない自由な表現を指す。文京区では2022年度から3年間、ボランティア団体などによる地域課題解決を目指した提案公募型協働事業(B チャレ)として、区内障害者施設などで制作された作品の展覧会「Bunkyo Brut」を実施してきた経緯があり、今回はアカデミー推進課が文化事業として引き継いだ。
会場では区内6施設から集まった個性あふれる作品を展示。期間中、「Bunkyo Brut」発案者でアート・コミュニケータの小松一世さんによるギャラリートークを毎日行い、空想の地図を描いた作品や、ロックミュージシャンのコンサートが開かれた街の風景を表現した作品などを紹介した。
小松さんは「絶対にまねできない表現があちこちにあふれている。それを見つけてほしい」と作品の魅力を語る。「地元の人に福祉施設の存在を知ってもらい、こんなにすてきな絵を描く人たちがたくさんいることで、もっと距離が近づけば」と期待を込める。ワークショップでは来場者が福井さんの「マットタウン」をモチーフに街の絵を展開していく参加型イベントも開催された。
初日に来場した区内在住の藤村銀子さんは「余計なことを考えずに描かれた絵は、こんなに素晴らしいものができるのだと改めて感じた。無意識の構成力とか色彩に驚かされる」と感想を話した。
主催した文京区アカデミー推進課の平山遥さんは「前身となる『Bunkyo Brut』を継承し、今回初めて区の事業として実施した。障害者による文化芸術活動の推進に関する法律に基づき、誰もが芸術に触れる機会を提供するのが狙い」と話す。同じく係長の高見裕樹さんは「アールブリュットは本来、専門的な美術教育を受けていない人たちの絵という意味で、いつでも、誰でも、どこでも文化・芸術に親しめる機会を今後も提供していきたい」と力を込める。