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本郷で若手作家が初個展 江戸木版画の老舗工房とコラボで

「Bunkyo Brut~つながりのひろがり展」出展時の佐藤凛心さん

「Bunkyo Brut~つながりのひろがり展」出展時の佐藤凛心さん

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 「『現代アート版画』を世界へ~佐藤凛心(りん)個展」が10月8日~12日、文京・本郷の「Sun Gallery and Space」(文京区本郷5)で開催される。主催は伝統木版画工房「高橋工房」(水道2)。

「Bunkyo Brut~つながりのひろがり展」出展時の佐藤凛心さん(左)と小松一世さん(右)

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 佐藤凛心さんは、視神経低形成による弱視(左目手動弁、右目視力0.07)と眼振の障害がある。筑波大学付属視覚特別支援学校専攻科に在学し、理学療法士の資格取得を目指す傍ら、独学でイラストを描いている。2024年に、文京アートプロジェクトが企画・開催したアール・ブリュット作品展「Bunkyo Brut~つながりのひろがり展」への出展が今回の木版画化プロジェクトのきっかけとなった。

 佐藤さんは「目が悪いことを理由に幼少期にはいじめに遭うこともあったが、だからこそ自分の目を嫌いになりたくないと思い、目をモチーフに絵を描くようになった」と話す。「自分の作品を通して、目が見えにくくても絵を描く人間がいること、誰でも本気で取り組めば何でもできるということを多くの人に知ってほしい」と期待を込める。

 「Bunkyo Brut」の発案者でキュレーションを担当した文京アートプロジェクトの小松一世さんは「区内の無名作家の発掘と鑑賞機会の提供を目指し、文京区社会福祉協議会の助成を受けて3年にわたって展覧会を開いた。作品と人、地域、さまざまな現象がつながり、関係性が広がることを願って『つながりのひろがり展』と名付けたが、今回の個展はまさにその広がりの一端」と話す。

 同展終了後に小松さんが高橋工房へ作品を持ち込んでプレゼンし、プロジェクトがスタートしたのが昨年10月。伝統工芸の継承と若手職人の育成に取り組む高橋工房が、江戸木版画の手法で佐藤さんの作品を木版画に仕立てた。構想から1年たち、個展は若手作家と若手職人によるコラボレーション企画のお披露目の機会となる。

 会場では、木版画作品とその原画のほか、制作に使った版木などを並べる。今夏に佐藤さんが描いた新作のイラストレーションも展示する。作品の販売はクラウドファンディングで行う。

 開催時間は11時~19時(初日は13時~18時、最終日は17時閉場)。佐藤さんの在廊日は、11日15時~17時、12日11時~13時。

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