跡見学園女子大学(文京区大塚1)で12月10日、パタゴニア日本支社(神奈川県横浜市)と連携して取り組んでいた「課題解決型授業」の最終プレゼンテーションが行われた。
課題解決型授業(Problem-Based Learning、以下PBL)は、まず企業側から現在抱えている課題について説明を受け、提示された課題の解決策を学生自らが考え、最終日に企業の担当者の前でプレゼンテーションを行う、という流れ。
今回、パタゴニア日本支社から出された課題「オーガニックコットン製品を、さらに多くのお客さま(特に学生)に選んでもらうためには、どのようなアプローチをとったらよいか」に取り組んだのは、同校生活環境マネジメント学科の「地球環境ゼミ(担当教員:宮崎正浩教授)」に所属する3~4年生の学生。
同演習初日の10月29日、辻井隆行日本支社長が、同社が1996年からコットン製品に使うコットンを100%オーガニックコットンへ切り替えることになった経緯やオーガニックコットンがなかなか広まらない理由のほか、同社の企業理念や製品へのこだわり、環境問題に対する取り組みについて説明し、それを受けて、課題解決策の検討に入った。
最終日、辻井支社長の前で、3つのグループに分かれて考えた解決策を発表した。学生が考えた解決策は、LINEの動画配信を使ってコットンが作られる背景や問題を説明した動画を配信する、といった学生らしい視点で考えられたものや、人気テレビ番組とタイアップしてオーガニックコットンを一気に広める、といった大胆なアイデアも。
学生のプレゼンテーションを受けて、辻井支社長は「今回学生達が熱意をもって取り組んでくれたことが伝わってきて非常にうれしい。発表内容に関しては、オーガニックコットンを広めるための『方法論』が多かったが、大学生の素直な視点から『どのような未来をつくりたいか、どのような世界にしたいか』ということも考えてほしい」と話す。「今回の授業はパタゴニアを知ってもらうための取り組みだと思われるかもしれないが、倫理的な消費や、背景から物を選択していくということを大学生のうちに考えてほしいという思いが強かった」とも。
同ゼミの担当教員である宮崎教授は「大学教員だけの授業ではアカデミックな視点になりがちである。これから社会に出ていく学生達には教員だけではなく、社会人・企業の立場から出される課題を考える機会をもってもらいたいと考えた。今回の授業では、企業からの視点から出題された課題に取り組んだことで視野が広がったと思う」と総括した。
同ゼミ3年生の川岸瑛理さんは「今回オーガニックコットンについて深く考えたことで、就職活動の際の軸ができた。ただ利益を生み出す企業ではなく、パタゴニアのように、社会貢献をしている企業に入りたい」と話す。同じく同ゼミ3年生の金子夏希さんは「学校とバイト先での往復だけでは、どうしても視野が狭くなってしまう。今回の授業のように、企業の人の考えを聞くことのできる機会は大切。さまざまな人の意見を聞くことで新しい世界が広がって、興味が広がり、将来につながっていくのだと感じた」と振り返った。