文京区千駄木の養源寺(文京区千駄木5)で6月26日、「&SCENE手創り市」が開催された。
毎回異なるテーマを設け、公募で集まったクリエーターが出店する同イベント。2012年10月から隔月で開いている。
今回は「6月のアクセサリー」をテーマに、皮革、布、木工、樹脂などの素材で作られた作品のほか、土器や衣類、書籍を扱う店など、約100店が境内に並んだ。移動販売のカフェや焼き菓子のブースなどもあり、木陰で軽食を取る人の姿も見られた。社殿では歴代の同イベントの様子を紹介する写真展も開かれた。
手創り市代表の名倉哲さんは、豊島区雑司が谷の鬼子母神で同様のイベントを始めて今年で10年目となる。かつてはカフェ&ギャラリーを運営していたという名倉さんは「作家にとって個展は晴れの舞台。金銭的にも時間的にも労力的にも非日常的なもの。より日常的で、できるだけ作家に負担のない形で作品発表できる場を作りたいと考えた」と話す。偶然訪れた京都・百万遍の手づくり市からイメージを得て、イベントの仕組みを作り、鬼子母神でイベントを始めるようになった。
養源寺での開催は、境内に地元民の交流の場を作りたいと考えた同寺の住職が、名倉さんの活動を知って依頼したことがきっかけという。「&SCENE手創り市」は、スタッフ発の「企画エリア」を設けてワークショップなどを行っているのが特長。この日は「紫陽花(あじさい)のブーケコサージュ作りワークショップ」が行われ、満員となる人気ぶりを見せていた。
「ものづくりの仕事をしている人に興味がある。単なる管理人ではなく、『ここだから出店したい』と思って参加してもらえるような場作りを心掛けたい」と名倉さん。
千駄木在住の川口沙綾さんは、作家仲間から評判を聞いて出店を決めたという。コミュニケーションツールにもなるオリジナルのカード作品「やさびしいかるた」を考案した川口さんは「青空の下で、ふらりと立ち寄った人に自分の作品に触れてほしくて、屋外でワークショップができる場を探していた。当初は販売が目的ではなかったけれど、結果的に気に入って買ってくれる人がいることはとてもうれしい」と話す。
第1回から出店している青木孝親さんと新井佳奈さんは、オリジナルの仕掛けカードを販売する。「本業はデザイナーだが、販売するカードは、誰かから依頼されるのではなく自分が作りたくて作った物。アイデアからデザイン、イラストレーション、印刷、加工まで一連の工程を全て自分でできるのが楽しい」と青木さん。
次回開催は8月28日を予定する。