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文京・大塚みどりの図書室でロボット朗読会 ペッパーが「気まぐれロボット」

「気まぐれロボット」を朗読するペッパー

「気まぐれロボット」を朗読するペッパー

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 文京区の大塚公園内にある「みどりの図書室」(文京区大塚4)で7月2日、「シニアのためのロボット朗読会」が開かれた。

イベントの主催者らとペッパー

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 人型ロボット「ペッパー」が小説や紙芝居の朗読を行った同イベント。当日はペッパーが「気まぐれロボット」(星新一)や「吾輩は猫である」(夏目漱石)の一節、紙芝居「セロ弾きのゴーシュ」(宮沢賢治)などを朗読し、約20人の参加者を沸かせた。

 朗読の前には、同公園がラジオ体操発祥の地とされることにちなんで、ペッパーと参加者が「ラジオ体操第一」を行った。朗読中もペッパーが地文と会話文で声色を変えたり、顔の向きを左右に動かしたりする姿に、会場からは驚きの声が上がった。時折ペッパーが発する「ちょっとテンションの上がる話ししていい?」「突然ですが、お掃除やお洗濯はちゃんとやりましたか?」といった呼び掛けに一同が笑いを誘われる場面もあった。

 参加者からは「ペッパーがラジオ体操をする姿がほほ笑ましかった」「指の動きが滑らかで驚いた。思ったより機械的ではなかった」「『気まぐれロボット』をまるで自分の感情で読んでいるようで面白かった」などの感想が聞かれたほか、「ロボットが古典を読んだり、落語をやったりすると(古典と現代の)ギャップが面白いのではないか」といった意見もあった。

 主催した同図書室の館長・山田万知代さんは「この小さな図書室のことをもっと知ってもらえる企画はないかと検討していた。筑波大学図書館情報メディア系の溝上智恵子教授と呑海沙織教授が、高齢者に向けたロボットによる図書館サービス代行の可能性について調査研究の機会を求めていることを知り、協力を申し出たことから今回の企画が実現した」と経緯を話す。

 両教授は2012年から調査研究に取り組み、「高齢者にとって情報を見つけやすい図書館とはどういうものか」というテーマを掲げて、高齢者の生活行動記録から対話型ロボットを活用した支援策を検討している。「今回は図書館のプログラムの一つとしても重要な朗読会をロボットにさせたとき、高齢者が拒否反応を示さないか実験してみた。プログラム作成に当たっては、抑揚と語間の開きに苦労した」と溝上教授は話す。

 館長の山田さんは「初めての試みだったが、告知から間もなく申し込みが相次いだ。こうしたイベントをきっかけに図書館に関心を持ってもらえたらうれしい」と期待を込める。

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