東京大学の開発商品などを販売する「東京大学コミュニケーションセンター(UTCC)」(文京区本郷7)が4月、新商品4種の販売を始める。
「研Q室のヨーグルト」にはギフトボックスも用意。ヨーグルトが8個入り、ギフト・差し入れにも
4月17日から販売する「研Q室のヨーグルト」(85グラム入り=140円)は、「乳酸菌11/19-B1株」を発見した東京大学薬学部の関水和久教授と、ゲノム創薬研究所、東北協同乳業とが共同開発した商品。東日本大震災被災地である福島の風評被害を払しょくしようと、関水教授から福島県に本社を置く東北協同乳業に提案。原材料に福島県産生乳70%以上を使う。これまでは、東北協同乳業が「11/19-B1 乳酸菌ヨーグルト」としてネットや東北と福島県内の販売店で限定販売するのみだったが、同大でも取り扱うことになった。
同大での販売に当たり、名称を新たに「研Q室のヨーグルト」とし、オリジナルパッケージも製作。同大の研究成果が社会貢献に役立っていることを学生や国内外の人にアピールし、研究活動への理解や興味を喚起する。今後は、東京大学生協や東京大学病院の売店、UTカフェで店頭販売するほか、UTCCオンラインショップでも販売する。
同商品に使う乳酸菌は、関水教授がキウイフルーツの果皮から分離・発見したもの。免疫が活性化すると筋肉が収縮する性質をもつ蚕(カイコ)で実験をしたところ、従来の乳酸菌よりも高い免疫促進活性が確認されたという。
東北協同乳業の担当者によると、「乳酸菌由来の滑らかさが特長の一つ。無添加・無香料で、酸味を抑えているので生乳の本来の味が楽しめる」という。
4月1日には、社会科学系研究を商品化した「ドイトュンブレンドコーヒー」(8グラムパック6個入り=600円)を販売。同商品は、同大東洋文化研究所・池本幸生教授の研究がきっかけ。タイのドイトュン地区で栽培・収穫したコーヒー豆と、グアテマラ・アンティグア地区サン・ミゲル農園のコーヒー豆をブレンドし、まろやかですっきりとした味に仕上がっているという。
ドイトュンは、タイの少数民族が暮らす地区の名前。同大によると、同地区に暮らす人々は貧困のためにかつて、世界最大のケシ(アヘンの原料)の生産で生計を立てていたといい、こうした状況の解決にむけて、1988年にタイのメーファールアン財団を中心に「ドイトュン開発プロジェクト」が発足。経済的な代替作物として、コーヒーなどの栽培を支援し、経済的自立や山岳民族の伝統文化保護を行い、現在では人々の暮らしは安定かつ持続可能なものとなっていきているという。
池本教授は所得格差や貧困の問題を研究対象とし、タイで長年にわたり研究に取り組んできたことがきっかけで今回の商品化が実現した。同大は「多くの方々に途上国のコーヒー生産者の現状について考えてもらうことが、途上国における生産者の生活安定やコーヒー産業の正しい発展につながってほしい」と話す。
このほか、同1日に、東大・川原圭博准教授とベンチャー企業「AgIC(エイジック)」による、紙にプリントした電子回路でLEDが光る「銀インクポストカード」(1枚=935円)、同13日は、東大OBのデザイナー・イトウジュンさんがブランドディレクターを務める超撥水(はっすい)風呂敷「ながれ」とのコラボ商品「超撥水風呂敷(本郷湯島絵図)」(3,500円)を販売。朝倉染布(群馬県桐生市)の独自技術『dewelry』(デュエリー)を使った超撥水加工がされており、風呂敷でありながら水も運ぶことができる。
同大担当者は「今後も大学と地域内外・海外とのコミュニケーションの架け橋となっていければ。取り組みをきっかけに、東大のファンになってくれる人が増えてくれるとうれしい」と話す。
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