小石川運動場(文京区後楽1)をホームグランドとし、文京区を中心とする特別区を本拠地とする社会人サッカークラブ「東京ユナイテッドFC(フットボールクラブ)」。23区内にホームスタジアムを持つチームとしては初となるJリーグ加入を目指し活動している。激しい戦いに挑む選手たちの素顔を紹介していく。
4回目は新宿区立柏木小学校で教壇に立つ傍ら、東京ユナイテッドFCで活躍している香西克哉(こうざいかつや)選手。
―――香西選手は新宿区立柏木小学校で教職に就いていらっしゃいますね。学生のころから憧れを?
いえ、そうではないんです。就職先を考えた時、自分が得意なことを生かせる仕事が教員だったんです。運動ができる、ピアノが弾ける、中学生までの勉強ならできるし、サッカーで培ったコミュニケーション能力もあると…。教員につながるカードがそろっていたんですね。東京ユナイテッドFCへは教員になった後に、大学時代の監督のご縁で入団させていただきました。
今は小学6年生の担任をしています。(普段は)朝6時半くらいに起きて15分ほどで家を出ます。そこから自転車で30分くらいかけて新宿まで通っています。7時20分くらいに出勤して、朝の仕事をこなし、子どもたちが登校してくる8時15分からは「小学校の先生」という生活ですね。6年生は大体6時間目があるので、15時半くらいまでは子どもといることが多いです。その後、会議や丸付け、事務作業とか、さまざまな仕事をします。18時過ぎには職場を出て、練習場に向かいます。仕事が忙しい時は、練習に遅れて参加することもあります。練習後は家に帰って23時には寝るようにしています。
―――練習時間に遅れないために工夫していることはありますか?
見通しを持つことが工夫と言えるかもしれません。今度何があるからそれまでに何々をしていかなきゃいけないっていうのをちゃんと見ておいて、どの時間に何をするかを決めておく。例えば、図工とか音楽って(専任の先生が担当するため)空き時間になるので、そういう時間に何をするかとか。極力、無駄なおしゃべりをしないようにもしています。あとは練習のない日に仕事を詰め込んで調整しています。もちろん練習のない日の放課後は、子どもたちと一緒にサッカーをしたりして、ちゃんと遊びます。「ちゃんと」っていうのもアレですけど(笑)。休み時間に丸付けをするような冷たい先生ではないですよ(笑)。
───仕事とサッカーの両立で、影響し合っていることはありますか?
東京ユナイテッドFCでの活動から学ぶことがたくさんあるので、それを次の日の子どもたちへの言葉掛けにつなげることができるのはいい点ですね。例えば、昨年は岩政大樹(いわまさだいき)選手からチームの話をいろいろ聞いたのですが、その内容が学級の話にメチャクチャつながることが多くて…。
学ぶっていう面では、勤務時間外の過ごし方として勉強会などに参加する手もありますが、いくらお金を払っても東京ユナイテッドFCに入ることは(普通の)教員ではできないと思うので、(チームでの活動を)いい時間にしたいと思っています。
───趣味はドライブと聞きました。きっかけを教えてください。
僕、昔、バイクに乗っていたんです。バイトの先輩に憧れて、カワサキの「ZEPHYR400」というバイクに乗っていました。結構一人で遠くに行ったりしていたんですよ。大学時代はバイト代を全てバイクに費やしていました。カワサキのバイクの渋くて男らしいところが好きなんです。
車は社会人になってから。マニュアルでスポーツタイプのマツダの「BRZ」を頑張って買いました。バイクもマニュアルだったので、マニュアルの車に乗りたいという思いがあったんです。それでローン地獄をまた社会人でやって、最近やっとローンが終わりました(笑)
───バイクに乗っていた頃は、どこを走るのが好きでしたか?
箱根ターンパイクから芦ノ湖スカイラインとか、伊豆スカイラインに行くとすごく楽しいですよ(笑)。そこから山中湖の方に行くのもいいですね。車でも基本的には同じ道をドライブするのが好きです。あとは九十九里浜の?風ヶ浦は海が広がっていて最高です(笑)。
───最後に目標を教えてください。
まずはJFL昇格。あとは「忙しく過ごす」っていう感じですね。こんなにサッカーができる時は多分もうないと思うので、サッカーも仕事もやりまくります。
香西克哉(こうざいかつや)
1991(平成3)年4月22日、新潟県生まれ。身長182センチ、体重71キロ。桐蔭横浜大学を卒業後、LEOC FC、横浜GSFCコブラを経て、4年前から東京ユナイテッドFCに所属している。
(文責=文京経済新聞・高橋昂希)