文京区民センター(文京区本郷4)で9月11日、「島根県津和野町 日本遺産記念シンポジウム」が開催された。
文京区ゆかりの文豪・森鴎外の出身地である島根県津和野町が昨年4月、「津和野今昔~百景図を歩く~」として日本遺産に認定されたことを記念して開いた同イベント。日本遺産は、文化庁が昨年創設した、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを認定する制度で、これまで37件が認定されている。
認定のきっかけとなったのは、幕末の津和野藩の名所や芸能、風俗などを記録した「津和野百景図」。100枚の絵画に描かれた城下町の風景や豊かな自然が、町民の手によって今もなお津和野に継承されていることから、文化資源としての価値を認められた。
シンポジウムでは、映像や有識者によるパネルディスカッションを通じて津和野の魅力を紹介したほか、同町に400年前から伝わる「津和野踊」を披露した。「津和野踊」は、森鴎外の自伝的小説「ヰタ・セクスアリス」にも記述がある。
来場者の一人は「親戚が津和野にいるので昔はよく行ったが、百景図は初めて知った。昔ながらの津和野の町並みや行事が伝承されてきた背景には、町民の皆さんの不断の努力があったと聞き、あらためて価値を感じた」と話していた。
下森博之津和野町長は「ぜひ津和野を訪れて、百景図を元にした街歩きを体験してもらいたい」と意気込む。
同町では「Tsuwano T-space(津和野町東京事務所)」(小石川2)などを中心に、今後もワークショップやイベントを企画していく予定という。