地域交流施設「こまじいのうち」(文京区本駒込5)が10月で3周年を迎え、NPO法人「居場所コム」を設立した。
同施設を運営する有志が中心となり、地域の居場所づくりに関わる支援を行うことを目的に設立した同NPO。理事長は、「こまじいのうち」で「マスター」として活動する秋元康雄さんが務める。
2013年10月に開設後、子供たちや一人暮らしの高齢者、子育て中の母親など、誰でも自由に立ち寄れる「地域のコミュニティースペース」として親しまれている「こまじいのうち」。秋元さんが駒込地区町会の副会長を務めていた当時、地域の居場所づくりの計画に賛同し、自身の空き家を提供したことから始まった。運営は、地域のボランティアと有志で行っている。
同施設は、空き家の1階部分の2部屋を利用して、囲碁や健康マージャン、ビーズ教室などを行うほか、学習支援や誰もが立ち寄れる「カフェこま」などを実施。実施に当たっては、駒込地区町会連合会(12町会)や同区の社会福祉協議会、駒込地域活動センター、東洋大学社会福祉学科などの協力を得ている。
2013年のオープン以来、3年間で延べ7500人を超える利用者を迎え入れたほか、2016年春には建物の2階部分をリノベーションして、コワーキングスペースとしての活用も始めた。
同施設での活動が各方面で注目され、空き家の利活用について相談を受ける機会が増えた一方で、地域のボランティアを中心に運営を継続することの難しさなどを懸念して今回、法人化に踏み切ったという。
秋元さんは「今では0歳児から90歳過ぎのお年寄りまでが訪れる。町会に無関心だった方々も関心を持ってくれるようになったのは、近隣12町会が協力して手作りでつくり上げてきたからこそ」と3年間を振り返る。
こまじいのうち立ち上げ時に駒込地域活動センター長を務めていた三縄毅さんは、今後「居場所コム」の副理事として団体を支える。「地域の人の顔が見えるコミュニティーをつくりたいと思い描いて活動に関わってきた。『こまじいのうち』のような居場所が区内のあちこちに生まれ、育っていったらうれしい。文京区には長年お世話になってきたので、これからは『居場所コム』の活動を通じてその恩を返していきたい」と三縄さん。
「居場所コム」は、初めての事業として11月26日から区民向けに「こまじいのうちに学ぶ 空き家・空きスペースの活用講座」を開く予定。地域の居場所づくりについての講義とグループワークによる全8回講座で、実在する空きスペースの活用に向けた企画を練る。申し込み・問い合わせは、文京区区民課地域振興係(TEL 03-5803-1170)まで。
「こまじいのうち」の3年間をまとめた資料集「こまじいのうち みんなの居場所。」は文京区社会福祉協議会などで入手できる。