文京・本郷の地域連携ステーション「フミコム」(文京区本郷4)で10月4日、「まちライブラリー@フミコム」が開設され、持ち寄った書籍を本棚に寄贈するイベント「第1回植本(しょくほん)祭」が開催された。
「まちライブラリー」とは、地域の人々が持ち寄った本を設置し、自由に読むことができる小さな私設図書館。不要な本ではなく「お薦め」を寄贈するのが特徴で、寄贈する人は登録カードに自己紹介と感想を記入する。借りた人も返却時にそのカードに感想文を書いて戻すルールで、「本を通じて人が出会う」仕組みとなっている。この取り組みは2011年に始まり、今年9月末現在、全国に634カ所が登録。同区内では「フミコム」が5拠点目。
区内の第1号拠点を自宅に開設し、「まちライブラリー」を広める活動もしている尾川宏豪さんが、「まちライブラリー」の仕組みや自身が開設に至った思い、全国の事例などを紹介した後、参加者が順番に持参した本への思いを披露した。
中央大学理工学部教授の田口善弘さんは「地域との関わりがなかなか持てずにいたので、いいきっかけになった」と話す。「理系は敬遠されがちで…」とほほ笑みつつ提示したのは「フューチャー・イズ・ワイルド」。コミュニティーの場として開放している本郷のオフィスで一足先に「まちライブラリー」を始めた竹形誠司さんは、「やりたいことがある人は未来食堂に来てください」を実店舗のエピソードと割引券付きで紹介した。自他共に認める盆踊り好きの田邊健史さんは「盆おどる本」を紹介。その他、「実は読書は嫌いなのだが、定期的に読書会を主催している」という男性、「最近、他区に引っ越して荷物を整理中だったが、気に入っていた本をここに置いていけるのはうれしい」と話す女性など、それぞれの思いに皆がうなずいていた。
同拠点・発起人の根本真紀さんは「本を介して新たな知識、発想、人に出会う…そんな場づくりを定期的に行っていきたい」と話す。「読書会など本を使ったイベントの持ち込み企画も大歓迎」とも。
今回、植本(寄贈)された本は「フミコム」内での閲覧のほか、貸し出しも行う。