文京の弥生美術館(文京区弥生2)で10月4日、「創刊65周年記念『なかよし』展~乙女には恋と夢(ファンタジー)が必要だ☆~」が始まった。
10月3日に行われた内覧会で挨拶をする講談社「なかよし」編集長の須田淑子さん
1954(昭和29)年12月に創刊し、現存する雑誌の中で最も長い歴史を持つという「なかよし」(講談社)の創刊65周年を記念して企画した同展。創刊から最新号までの代表作の原画約250点(展示替え含む)のほか、昭和30年代から現在までの時代ごとの付録の変遷などを紹介する。
1階展示室では創刊から1980年代までをたどる。創刊号の表紙パネルに始まり、手塚治虫の「リボンの騎士なかよし版」原画、女性漫画家が活躍した60年代後半からは、大和和紀「青空にとび出せ!」の原画などが並ぶ。「ギャグや『不幸モノ』に変わってラブコメが増えた」という70年代は、「恐怖モノ」を代表して高階良子「地獄でメスがひかる」の原画などを展示。「等身大のラブストーリーが主流となった」という80年代では、ひうらさとる「月下美人(ムーンライトシンデレラ)」などがあり、他に美内すずえのホラー作品「妖鬼妃伝」などが並ぶ。現在も連載中のあべゆりこ「わんころべえ」の創刊当初と最近の絵柄が比較できる原稿なども展示する。(注記:手塚治虫の“塚”の字は旧字体(塚にヽのある字))
2階展示室では昨年10月に亡くなったあさぎり夕さんの追悼コーナーも設置。「ファンタジーへ移行する」90年代は、秋元奈美「ミラクル☆ガールズ」、武内直子「美少女戦士セーラームーン」、CLAMP「魔法騎士レイアース」や「カードキャプターさくら」などが並ぶ。
10月3日に行われた内覧会では、講談社「なかよし」編集長の須田淑子さんが「仕事を忘れて夢中で楽しんでしまった。これほど多くの展示、豪華な先生方の作品を飾る機会はまれで、歴史的なこと。65年という歴史の中で多くの素晴らしい作品を生み出せたことを誇りに思う。歴史に恥じないよう、次代に向けて、たくさんの子どもたちに楽しんでいただける作品を送り続けたい」とあいさつした。
担当学芸員の外舘(とだて)惠子さんは「自分自身が親しんだ90年代の展示エリアは、つい熱くなってしまう」とほほ笑む。「見どころはたくさんあるが、あさぎり夕先生の追悼コーナーではあまり公開されていない貴重な作品も見られる。歴代付録の展示では60年代にはやったおしゃれ小物や、80年代に登場する組み立て付録やソノシートなど、時代ごとの素材の違いも楽しめる」とも。
展示内容は、前期=10月4日~27日、中期=10月29日~11月24日、後期=11月26日~12月25日で原画を入れ替える。
開催時間は10時~17時。月曜休館。入館料は、一般=900円、高校・大学生=800円、小・中学生=400円。12月25日まで。