湯島・上野エリアを拠点に活動する「藝(げい)を育むまち同好会」(文京区湯島3)の所属アーティストたちが10月9日、元スナックの物件をアトリエに改装するプロジェクトを立ち上げた。
「藝を育むまち同好会」は2019(平成31)年3月、若手アーティスト応援と地域のアートブランドイメージ構築でまちを活性化しようと同エリアの商店主らが中心となり設立した。同会所属のアーティストは、湯島・上野エリアの店舗にアート作品を展示する「シタマチ・アートギャラリー」を開催したり、歓楽街として知られる仲町通りでファミリー向けワークショップを行うことで楽しめる空間を演出したり、ハロウィーンなどの四季折々のイベントを行ったりと、さまざまな活動に取り組んできた。それらの活動が縁をつなぎ、同エリアのビルの一角をアトリエとして提供するとの話が寄せられ、同会有志がプロジェクトを計画。現在、クラウドファンディングサイトを通じて資金支援者を募集している。
同会に所属する造形作家の山田勇魚(いさな)さんは「大学を卒業したてのアーティストは、制作場所を自力で確保する必要があり、多くはアルバイトをしながら環境を整備し作品を制作している。東京近郊に制作場所がなく、地方に戻る作家も数多くいる。共同アトリエがあれば、制作拠点や簡易宿泊場所ともなり、若手アーティストの活躍のチャンスが広がるのでは」と話す。「これまで大学で使えていたカッティングシートやプリンターなどの機材を使える環境整備も、制作や展示活動を続ける上では必要」とも。
同会代表の大道寺有人さんは「若手アーティストを応援するため、当初は地域での展示やデザインの機会を提供してきたが、そうした活動がアーティストと地域の人との関係作りにほかならないと気付いた。地域にアトリエができることによって、さらに多くのアーティストと地域の人の接点ができると期待する。作家だけでなく、地域の方々、親子連れとも交流できるスペースになれば」と期待を寄せる。
クラウドファンディングの目標額は384万円。集まった費用は、物件初期費用や初期1年分の賃料、改装費などのほか、3Dプリンターやレーザーカッターなどの購入に充てる予定。1,000円から用意するリターン品は、支援金額に応じて、お礼メール、所属アーティストのポストカードセット、キーホルダー、Tシャツなど。同会に所属する造形作家の山田勇魚(いさな)さんによる作品「錦鯉」は限定1人で100万円。目標金額に満たない場合も計画を実行し、リターン品は送られる。
支援募集締め切りは11月30日。