「江戸そば屋台」を使ったそば販売が11月6日、文京・根津の藍染(あいそめ)大通りで行われた。
歩行者天国50周年記念イベントの一環。同屋台は昨年、法政大学デザイン工学部建築学科高村研究室の学生たちが展覧会のために作成し、展示後は同大市ヶ谷キャンパス内で保管していた。今回のイベント前日、市ヶ谷から根津まで学生たちが藍染町会の人々と協力して屋台を担いで移動し、イベント会場に設置した。
屋台の作成者で同大大学院修士2年の渡邊勢士さんは「展示用の屋台を運び出すことには不安もあったが、思っていた以上に東京の街並みになじみ、多くの方に歓迎されたので、作成した喜びを感じた」と話す。同2年の佐々木弘さんは「そば屋台を歩いて運ぶことで、道路と人の関係性を見直すきっかけとなる良い経験ができた」と話す。
そば屋台では、藍染町会の手打ちそば店「鷹匠(たかじょう)」がそばを販売し、50食分を用意したかけそばの整理券は昼前になくなった。
「鷹匠」店主の石井公二さんは「屋台を実際に歩いて移動させ、そばを提供したことで、江戸時代はどのくらいの距離を移動したのか、限られた空間でどのように調理していたのかなど、そば屋として謎が解ける発見がたくさんあった。店単体でなく町全体の中で商売をしているという実感も改めて持つことができた」と笑顔を見せる。