跡見学園女子大学(文京区大塚1)で9月28日、学生約40人が災害時における妊産婦・乳幼児の受け入れを想定した母子救護所の開設から運営までの訓練を実施した。
同訓練は同大が2012年9月に全国初の取り組みとして、災害時に妊産婦・乳幼児の受け入れを想定し、キャンパスの一部を救護所として提供する「災害時における母子救護所の提供に関する協定」を文京区との間に締結したことを契機に開始。昨年は学生が妊婦ジャケットや約3キロの人形を使って妊婦体験をしたほか、「緊急時の女性としての心構え」などを学んだ。
同訓練は今年で3回目。当日は学生約40人が参加し、文京区の協力の下、東京都助産師会と共同で「入所シミュレーション」として被災時の妊産婦・乳幼児の受付から入室までを訓練したほか、防災ゲーム「避難所HUG」を活用した避難所運営の模擬体験を行った。
「避難所HUG」は、2007年に静岡県が開発した避難所運営を模擬体験するカードゲーム。この日は、「妊産婦・乳幼児の受け入れ所」を想定して避難所運営を体験。訪れる妊産婦や乳幼児の症状の書かれたカードを、大学の見取り図上に記されたハイリスク妊婦室、ローリスク妊婦室、母子室、感染症の4つの部屋に振り分け。そのほか、到着した救援物資の置き場所や着替え場所の確保など、避難所で起こり得る事態に対してどう対応していくか活発な議論のもとでゲームが行われた。
参加した学生からは「症状ごとの振り分けが難しい」「家族や夫婦で訪れた場合、男性にどう対応していくのか」「ペットが来たらどう対応したらよいのか」など、未経験の事態に対して困惑する声が聞かれた。一方で、「(この体験をきっかけに)普段から災害が起きたら、どう行動するのか考えていくことが重要」と備えの重要性に対する気づきの声も聞かれた。
同大の内山康和事務局長は「今後は訓練の企画・運営というプロセスの部分に学生が参加することで、今回学生たちが感じた課題を防災訓練に還元し、防災・教育の両観点でより発展的な活動としていきたい」と話した。