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跡見学園が森鴎外の「舞姫」自筆原稿取得 一般公開へ

「舞姫」の自筆原稿

「舞姫」の自筆原稿

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 跡見学園女子大学(文京区大塚1)が4月28日、森鴎外の小説「舞姫」の自筆原稿を取得したと発表した。

鴎外の修正の跡が読み取れる「舞姫」の自筆原稿

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 日本近代文学小説として知られる「舞姫」は、1884(明治17)年から4年間のドイツ留学での体験を基に書いた鴎外の代表作で、1890(明治23)年に雑誌「国民之友」で発表された。同作品は作品集などに収録される度に鴎外により改稿されたが、今回同大が取得した自筆原稿は初出時の物で極めて希少性が高いという。

 大阪朝日新聞社の上野精一元会長が1933(昭和8)年に購入したという自筆原稿は、これまで長らく上野家で保管され、研究者でも目にすることが困難とされていた。1994年に京都の臨川書店が上野家から預かり、今年3月、「国際稀覯(きこう)本フェア2015」に出品されたのをきっかけに同大が購入した。

 「舞姫」執筆時の鴎外夫人・赤松登志子は、跡見女学校の卒業生であり、跡見学園の学祖・跡見花蹊(かけい)の直弟子に当たる人物。同学園の山崎一穎(かずひで)理事長は鴎外研究者として知られるなど、同学園は鴎外とゆかりが深い。

 今年で創立140周年を迎える跡見学園によると、跡見学園女子大学も創立50周年に当たる節目の年に自筆原稿が出現した「偶然」も今回の取得動機の一つとなったという。

 同大の山田徹雄学長は「(鴎外がその半生を過ごした)文京区内で保管して、大学として文学・教育資料として活用するほか、区民に公開していくことで地域貢献をしていきたい」と話す。

 自筆原稿の価値について、山崎一穎理事長は「自筆原稿は活字では味わえない、書き手の心の動きが見えてくる。(今回の原稿は)特に筆文字のため、落ち着いて一字一字書かれた所と文字が乱れてつながっている所がみられ、鴎外の心の動きが読み取れることに一つの価値がある」と話す。

 これまで出回っていた「舞姫」の自筆原稿は、上野氏が1960(昭和35)年に作成した原稿の複製本(300部)のみ。同大では森鴎外記念館と協力して初の公開準備を進め、早ければ年内にも一般公開される見込みという。

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