文京区目白台の筑波大学付属視覚特別支援学校(文京区目白台3)で10月29日、同校初のクッキングクラブが創部された。同日、メディア向けに、生徒たちが実際にハンバーグ作りに挑戦する様子を公開した。
同校と味の素(中央区)が連携。同社が今年2月に公開した視覚障害者向けレシピサイト「音でみるレシピ サウンドフルレシピ」を活用したクッキングクラブとして立ち上げた。同サイトは音声読み上げ機能に特化し、食材が焼ける音や煮立つ音など、「音」を手がかりに調理する方法を紹介している。
同社の赤坂由美子さんは「視覚情報に依存した表現は、視覚障害を持つ方にとって使いにくいものになっている。見えない人も見える人も、より料理を楽しめるように新しいレシピサイトの在り方を考えてきた」と背景を説明した。
同クラブでは、食材が焼ける音や煮立つ音、鍋から伝わる振動、香り、手触りなど、さまざまな感覚を手がかりに調理法を学び合う。部長の高橋祈愛さん(高等部普通科2年)は「焼くときの音など、あまり意識したことがない音や感覚があることを知って、一人でも料理ができることが分かってきた」と話す。
同校卒業生で、特別アドバイザーを務める料理愛好家のみきさんは「自分の感覚と食材、調理器具が仲良くなっていくと、料理を感覚で楽しめることを発見できた」と話す。
 同校は全国から生徒が集まる寄宿舎を持つ学校で、地方出身の生徒も多い。同校寄宿舎指導員の佐伯登さんは「今日が創部という形になる。月1回程度、土日に集まり、みんなでワイワイ楽しみながら調理をする」と活動方針を紹介。「地方から来ている生徒が多いので、出身地の料理をみんなで楽しんだりもする」と話した。さらに、地域との連携について、「学校の近くで行われる祭りにも参加しているので、どんどん地域の方とも関わって、この活動を知ってもらえたら」と意欲を見せる。