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文京・水道の「道のギャラリー」で伝統木版画工房と福祉施設がコラボ

「道のギャラリー」に展示したリアン文京の作品

「道のギャラリー」に展示したリアン文京の作品

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 障がい者支援施設・リアン文京(文京区小日向2)の作品展示が3月14日、文京・江戸川橋のショースペース「道のギャラリー」(水道2)で始まった。

高橋工房6代目代表の高橋由貴子さんとリアン文京・施設長の山内哲也さん

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 安政年間(1854~1860)創業の伝統木版画工房「高橋工房」が、「路地裏にある工房の目印になるショーウインドー」として開いた同スペース。工房所蔵の作品以外を展示するのは今回が初めて。

 きっかけは昨年12月、文京シビックセンターの「アートウォールシビック」に出展したリアン文京の作品に、同工房6代目代表の高橋由貴子さんが目を留めたことから。「アートウォールシビックの展示は毎回気にして見ているが、作品がパッと目に飛び込んできたのは初めてだった。工房の近くの福祉施設で作られた作品であることにも驚いた」と高橋さん。

 リアン文京・施設長の山内哲也さんは「常日頃、リアン文京の利用者の描く絵画や造形に目を奪われている。さまざまな人に直接見ていただき、その感動を共有したい思いがある」と話す。「工房のご厚意により街なかでの展示の機会を得られたことは望外の喜び。利用者にとっても励みになると思う」とほほ笑む。

 今回展示しているのは、施設利用者が共同で制作した版画コラージュ作品。「アートウォールシビック」出展に向けて6点制作したうちの2点。制作指導に当たったのは施設の支援員で作家としても活躍する「しのかよ」さん。

 施設利用者に向けて「草木や花、何でも好きなものを描いて」と呼び掛けて集めたラフスケッチをパーツとして下絵に起こし、10人ほどの利用者が手分けして彫りと摺(す)りを行い、仕上がった版画をしのさんがレイアウトしたという。

 しのさんは「人は皆、日々呼吸をするように自然に表現を必要としている。それが言葉であったり、表情であったり、ものづくりであったりする。今回の版画作品は、利用者の方たちの表現の一つ一つのかけらが一体となってできたもの。作品を通して、少しでも多くの人たちの心に届けば」と期待を込める。かつてはリアン文京と同系列の大島の施設に勤務していたというしのさん。「大島のツバキを懐かしく思う気持ちでモチーフにした。人知れず力強く、たくましく開花する大島のツバキと、人知れず表現をしているリアンの利用者たちを重ね合わせた」とも。

 ショースペースのシャッターが開くのは10時~17時(土曜・日曜は不定期、高橋工房の営業時間に準じる)。今月31日まで。

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