文京・関口のギャラリー「Hiromart Gallery(ヒロマート・ギャラリー)」(文京区関口1)で4月14日、富田伸介展「貝の声」が始まった。
富田さんは、金沢を制作の拠点に油絵と銅版画作品に取り組む愛知県出身のアーティスト。東京での個展開催が初となる同展では、新作を含むセレクションした銅版画作品を発表する。
富田さんは「漠然としたイメージを、頼りないままにまっさらな銅版に描くことから始める。そこを支点として少しずつ描き進める中で、腐食による思い掛けない効果や、試し刷りで反転される図像に影響を受けつつ、イメージはだんだんと確固たるものになってゆく。それは、銅版にイメージを描き始めた自分と、そのイメージが刻まれた銅版との対話のようでもある」と話す。
同ギャラリー・ディレクターの西山博美さんは「富田さんの温かみやストーリーを感じさせる銅版画作品と出合い、また版画作品の肌合いや質感、銅版画表現ならではの面白さから今回の展覧会を企画した」と話す。「油彩は実際に対象を見て確認をしながらじっくり描き、対照的に銅版画は経験や記憶といった内面を確認しながら作品に取り組んでいるという富田さん。制作は音のない静かな空間で、腐食を待っている時間もじっくり眺めているとか」とも。「穏やかな空間で、作品と対話しながら丁寧に制作された銅版画作品をご覧いただきたい」と呼び掛ける。
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策により、混雑時は入場制限をする場合がある。
開廊時間は13時~19時。最終日を除く日曜は予約制。月曜・火曜、今月29日~5月5日休廊。5月30日まで。