文京区の根津神社(文京区根津1)で9月18日、例大祭が行われ、遷座310年の節目に全23の氏子町会による「連合宮入」が初めて実現した。
同神社の例大祭の歴史は古く、江戸期の1714(正徳4)年、当時の六代将軍・徳川家宣により始められたものとされる。江戸中から山車が集まり、「天下祭」の異名を取るほど壮大なものだったと伝えられ、現在も日枝神社の山王祭、神田明神の神田祭と共に「江戸の三大祭」と並び称されている。
今回実現したのは、全23の氏子町会による「連合宮入」。これまでも各町会が神輿を宮入させていたが、全町会が一堂に会し連合で宮入させるのは初めてのこと。連合宮入は15時過ぎから行われ、境内や参道だけでなく、周辺の不忍通りも一時、山車行列とたくさんの見学客で埋め尽くされた。
連合宮入の発起人で、同神社の氏子総代(氏子の中から選ばれる神社の世話人)を務める寺澤弘一郎さんは「3年前、氏子総代に任命されたのを機に今回の企画を提案した。氏子といっても町会それぞれに個性があるため、実現は難しいという声もあった」と話す。
大きな推進力となったのは、45年間少年野球を指導してきた寺澤さんの教え子たち。現在も地域に暮らす教え子を通じ、その同級生などを巻き込む形で若い協力者を増やしていったという。
白山上自治会長でもある寺澤さんは「年々、若い人たちと町会との関わりが薄くなっていくのを感じていた。今回、祭りをきっかけにできたつながりを、これからも継承していってもらいたい」と期待を寄せる。