文京区立本郷小学校(文京区本郷4)で9月29日、地元のボランティア団体「語部集団はちじゅうはちここのつとお」が地域にまつわる昔話の朗読を披露した。
地元小学校が地域について学ぶ総合学習の一環として行われた今回の朗読会。3年生の約100人を前に読まれた作品は、同区関口の江戸川(神田川の別称)にちなんだ「一休名残蕎麦(そば)」や、「赤ひげ先生」の名で親しまれた小石川診療所がモチーフの「盗人を治す医者」、「身代わりえんま」として有名な厳覚寺(小石川2)の謂(いわ)れを伝える「こんにゃくえんま」など、いずれも江戸時代から地元に残る言い伝え5編。朗読の合間には物語にちなんだクイズも出され、児童らが元気に手を挙げて回答する場面も見られた。
朗読を行った「語部集団はちじゅうはちここのつとお」は、同区が主催した朗読講座の修了生で3年ほど前に結成。地域の言い伝えや区にちなんだ作家・作品にこだわって朗読活動を続けている。団体名は、「粋」という漢字のパーツをばらすと「はちじゅうはちここのつとお」と読めることから付け、「江戸の粋を語り伝えていきたい」との思いを込める。普段は区内の高齢者施設などを中心に活動しており、小学校での活動は今回が初めてという。
朗読を披露したメンバーは「感性豊かな子どもたちを前に朗読すると、リアルな反応があるのでうれしい」「聴いている子どもたちの表情がとても良かったので励みになった」「将来を担う子どもたちに対する責任感からとても緊張した」と振り返る。
同団体代表の大澤経子さんは「演じる私たちがこの地域に愛着を持っていることが、何より伝える力になると思っている。朗読を聴いた子どもたちが地域に興味を持って、その場所に行ってみようと思ってくれるような作品選びをした。今日の子どもたちがいつか大人になって、わが子を連れてこの町を歩く時に、今日の物語が語り継がれていたらうれしい」と期待を込める。
同校の細田真司校長も「子どもたちの郷土愛を育む良い機会となった。話を聴く力や、思考力、想像力を高めるような工夫もあり、とてもありがたかった」と話す。