特別展「観潮楼歌会-鴎外の歌壇観測」が10月10日、千駄木の文京区立森鴎外記念館(文京区千駄木1)で始まる。正式な記録が残らない歌会について、鴎外と参加者の日記や書簡、回想から探る。
「必ず出席する」と鴎外に伝えた啄木のはがき。1908(明治41)年9月29日
観潮楼歌会は、森鴎外が自邸「観潮楼」で1907(明治40)年3月から約3年間主宰した歌会。結社ごとに分かれていた歌壇の隔たりを縮めようと鴎外が呼びかけた。確認できる開催は約30回で、伊藤左千夫、与謝野寛、石川啄木、北原白秋、斎藤茂吉ら延べ21人が集まった。作者名を伏せた詠草(えいそう)を回覧し、率直な批評を交わしたという。
展示するのは、第一回歌会の案内を伝える伊藤左千夫のはがき、出席を約束した石川啄木のはがき、斎藤茂吉の初参加を記す「鴎外日記」1909(明治42)年1月9日など。鴎外の「沙羅の木」、雑誌「スバル」創刊号、吉井勇と斎藤茂吉の自筆原稿も並べる。
同館副館長で学芸員の塚田瑞穂さんは、出欠を知らせるはがきなどから「参加者が固定されない、開かれた集まりだったことを実感できる」と話す。左千夫に伴われて参加した斎藤茂吉が木下杢太郎、北原白秋らと出会ったことは、雑誌「アララギ」に白秋らの詩歌が載り、茂吉の歌集「赤光(しゃっこう)」の口絵を杢太郎が描くことにつながった。塚田さんは「歌人たちが結社を超えて交流する場となったことが大きかった」と強調する。
期間中、講演会を2回開く。11月7日は歌人で宮中歌会始選者の今野寿美さんが「変遷・曲折・鴎外短歌」と題して、同28日は伊東市立木下杢太郎記念館前職員の丸井重孝さんが「観潮楼歌会に集った若者たち」と題して、それぞれ話す。11月15日には歌人の石川美南さん、佐佐木定綱さんによる新・観潮楼歌会「対決! 観潮楼歌会に集うスター達(たち)PART2」も開く。いずれも14時から、定員各50人。事前申込制で抽選。講演会は観覧券の半券で無料。歌会は2,000円。
ギャラリートークは、10月28日、12月9日、2027年1月6日。11月1日の開館記念日は観覧者にポストカードを進呈する。
開館時間は10時~18時(最終入館は17時30分)。観覧料は一般600円、中学生以下無料。2027年1月11日まで。