本郷の酒販店「本郷いなせや」(文京区本郷5)が6月1日から、移転を記念した試飲イベントを行う。特別純米酒「本郷」、果肉入り梅酒「本郷」、桃の酒「おふくさん」を提供する。
同店は4月8日、入居ビルの立ち退きを機に同エリア内へ移転した。創業23年目の再出発となる。日本橋のデパートの酒売り場から独立して2003(平成15)年に開業。コンセプトは「全ての商品にストーリーがある」こと。本郷・東大周辺の歴史に着想したオリジナル酒を企画・製造し、地域の歴史と物語を酒で発信してきた。移転先では明るい店構えにリニューアルした。
特別純米酒「本郷」は、1583年創業で加賀前田藩のご用達(ようたし)だった酒蔵が醸造する。東大・本郷キャンパスはかつての加賀前田藩の上屋敷跡で、藩祖・前田利家公が愛飲したとされる日本酒の製法を受け継ぐ一本。
桃の酒「おふくさん」は、春日局(本名=齋藤福)にちなむ。春日は春日局の屋敷跡とされる地で、桃のすり身と日本酒を合わせた甘みのある酒に仕立てた。里芋焼酎「鴎外」は、島根県津和野出身の文豪・森鴎外にちなみ、津和野特産の里芋を原料に仕込む。全商品が区のふるさと納税返礼品で、観光協会の認定品でもある。
東大農学部に立つハチ公と上野英三郎博士の銅像をモチーフにした「再会ワイン」は、当時大学院生だった現・東京大学医学博士との共同開発。「本郷」を除く全商品のラベルデザインも同博士が手がける。ハチ公の生前にその頭をなでた母親を持つマクドナルド由美さんとも交流がある。
酒類のほか甲冑(かっちゅう)や刀剣、古美術品も販売。移転に合わせて純米大吟醸「赤門」が4月に完成。「赤門」の文字には、東京大学文学部卒業の書道家・鈴木桃苑さんが協力した。酒の輸出・卸免許を持ち、訪日客への土産品としての活用も視野に入れている。
店主の渡辺英明さんは「うちは一つ一つ全てにストーリーがある。商品に物語があるということを、深く話し込んでいけば語られる部分が結構ある」と話す。
営業時間は10時~20時。日曜・祝日定休。6月30日まで。