
現代消費研究ゼミの学生と野村拓也准教授。ブドウの苗木を前に
東洋学園大学(文京区本郷1)現代経営学部「現代消費研究ゼミ」が4月、キャンパス屋上で醸造用ブドウ栽培を本格始動した。宮城県のワイナリーと連携し、将来的なワイン生産を目指す。都心の大学キャンパスでブドウ栽培からワイン生産までを一貫して試みる取り組みは、国内でも例が少ないという。
宮城から来た苗木、都心の屋上でワインに
野村拓也准教授が指導する同ゼミは2024年から屋上菜園プロジェクトを実施。ローズマリーを活用したアロマキャンドルの開発・販売を手がけ、2025年の「文京博覧会2025」にも出展した。当初、学内では「面白いが大変そう」という声もあったが、数年かけて準備を重ねてブドウ栽培を実現した。

連携するのは宮城県のワイナリー「Fattoria AL FIORE」(宮城県川崎町)。野村准教授が日本酒の海外輸出・流通をテーマにした研究の視察で同ワイナリーを訪れたのがきっかけだった。ブドウ栽培の構想を話したところ、ワイナリー側から「うちの木を持っていってもいいよ」と快諾してもらったという。学生たちは現地を訪れて苗木の掘り起こし作業に参加し、ワイナリー協力の下、3月中旬に苗木を都心の屋上へ運び入れ、植え付けた。

今年は実をつけず根に栄養を与えることに専念し、2年目は枝作り、3年目にようやく収穫を迎える長期計画となる。収量が確保できればワイン醸造を目指すが、少量の場合はクラフトビールの副原料としての活用も選択肢に入れている。苗木は挿し木で増やし、将来的には地域の人々に分けて文京区内各所で実験的に育てていく構想もある。

台車でプランターを運ぶゼミ生。苗木の搬入・設置作業を学生が担った
屋上には大学のシンボル「フェニックス(鳳凰)」にちなんだブランド「IL NIDO DELLA FENICE(イル・ニード・デッラ・フェニーチェ)」のサインを設置した。キリに鳳凰を描く伝統意匠をブドウの葉に置き換えた独自ロゴを制作し、同区「葡(読み)」京区化計画として都市の屋上や遊休空間でのブドウ栽培を広げ、地域の特色として根付かせることを目指す。

プランターへのブドウ苗木の植え付け作業
野村准教授は「何か一つの作物で旗を揚げ、みんなで一丸となって取り組むことができたら、地域の特色として広がっていく可能性がある」と話し、ゼミ生に向けては、「人生を懸けて関わり、魅力を発信したいと思えるものに出合うプロセスを大事にするマーケターになってほしい」と強調する。

ブドウを栽培する屋上から東京ドームを望む
同ゼミ4年の秦礼旺(はた・れお)さんは「ブランドをしっかり定着させるのが自分たちの代の役目」と位置づけ、「後輩には、ブランドを傷つけないよう作業の一つ一つに気をかけながら、先輩たちが築いてきた礎をしっかり積み上げていってほしい」と呼びかける。

野村拓也准教授(左)と現代消費研究ゼミ4年の秦礼旺さん(右)