和洋菓子店「丹波やながわ東京春日店」(文京区本郷2)が8月20日、本郷三丁目交差点に位置する「かねやすビル」1階にオープンした。
「丹波の気候風土に育まれた食材を届ける」をコンセプトに、兵庫県丹波市で収穫された栗や大納言小豆、黒大豆などを使った和洋菓子の製造・販売を手がける「やながわ」が運営する同店。2018(平成30)年9月に春日通りに「丹波風土」(本郷1)を出店したが、店舗契約の都合などにより閉店し、今回「丹波やながわ東京春日店」として新たに店を構えた。丹波の地卵と兵庫県産小麦を使い、春日大納言小豆を入れたどらやき『どら福』は、毎朝店舗で焼き上げる。
「やながわ」4代目社長の柳川拓三さんは「丹波はかつて特産物をそのまま京阪神に送るだけの原料提供のまちだったが、製造・販売を手がけることで地域活性化の仕組みができると考えた。消費地として東京を目指した時、春日局の生誕地・丹波市春日町と終焉(しゅうえん)の地・文京春日をつなぐストーリーが浮かんだ」と話す。
「今回店舗を借りるに当たり、オーナーの先祖が室町時代に侍医として朝廷に仕えた口科医官の丹波兼康であると知り、ますます丹波との縁を感じた」とも。
「かねやすビル」は、江戸時代の川柳で「本郷も かねやすまでは 江戸の内」と詠まれたことでも知られる。「かねやす」は享保年間(1716~1736)、兼康祐悦という歯科医が歯磨き粉を売り出した繁盛店だったが、1730(享保15)年の大火により湯島や本郷一帯が燃えたため、再興に力を注いだ町奉行の大岡越前守が、ここを境に南側を耐火のために土蔵造りや塗屋(ぬりや)にすることを命じたことに由来する。その後、洋品店として営業していたが、2018(平成30)年頃からシャッターが降りたままであったため、今回の開店は地域でも注目を集めていた。
柳川さんは「『なぜかねやすなのに春日店を名乗るのか』とお叱りの問い合わせを受けることもある。春日局と深いつながりを持つ『東京・春日通り』に大きな意味と運命的な縁を感じて出店したことを、商品を通じて丁寧に伝えてきたい」と話す。
営業時間は9時~19時(焼きたてどらやき「どら福」販売は10時~)。日曜定休。