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文京のすし店が「郷土寿司」レシピ本刊行 郷土ずし文化の継承図る

店主の岡田大介さん

店主の岡田大介さん

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 すし店「酢飯屋」(文京区水道2、TEL 03-3943-9004)店主の岡田大介さんが4月18日、郷土ずしのレシピ本「季節のおうち寿司」を発行した。

父の日のおうちずしとして紹介する「おからずし」

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 日本全国の「郷土寿司」文化を継承していこうと活動する「郷土寿司プロジェクト」を展開する同店。岡田さんが郷土ずしと向き合うきっかけは、「島根県で食べたおからのすし。自分がすし職人をしているにもかかわらず、まだ食べたことも作ったこともないすしに出会ってしまった。すし職人なのに知らないすしがあっていいのかと疑問が生まれた」と岡田さん。調べてみると、「数えきれないほどの郷土ずしがあることが分かった」と話す。

 「郷土ずしは店で握られるのではなく地域ごとに伝承されており、中には、今まさに作り手がいなくなってしまうような『絶滅危惧種』の郷土ずしがあることも分かってきた」とも。岡田さんは「郷土ずしを掘り下げること、継承していくことで、すしをもっと進化させていきたい」と日本各地の郷土ずしの取材を始め、これまでに全国20カ所を訪ね、郷土ずしプロジェクトとしてホームページで情報発信している。

 岡田さんが日本全国の郷土ずしを取材して学んだ郷土ずしのレシピを、家庭でも再現しやすいようにと加筆して紹介する同書。家庭向けにまとめた理由について、岡田さんは「郷土ずしを記録していく専門書として発行すると、とても一般の人が手にするようなものではなくなってしまう。どこの家庭でも作ることができるようになることで、郷土ずしにも興味をもってもらえるのではと考えた」という。

 刊行から1カ月、「実際に本を購入した人から作ったすしの写真が届いたり、作り方の質問が送られてきたりと思った以上に反響がある」と岡田さん。今後は継続して同プロジェクトを進行しながら、同店でも郷土ずしを作るワークショップなどを企画する予定という。

 「すしを作るには、それなりの手間もかかる。郷土ずしを作ることを通して、すし店が普段やっている手間を知ってもらえる機会にもなれば」とも。

 価格は1,620円。

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