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文京・廃業した銭湯ペンキ絵富士が富士市へ 「早川ブルー」修復・展示へ向け

断裁された富士山のペンキ絵

断裁された富士山のペンキ絵

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 文京区内の倉庫(文京区白山2)で7月12日、昨年5月に廃業した銭湯「月の湯」(目白台3)のペンキ絵を「富士山かぐや姫ミュージアム」(静岡県富士市)に引き渡す作業が行われた。

ペンキ絵を断裁する様子

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 同ペンキ絵は、銭湯絵師の故・早川利光さんによるもので、最後に塗り替えられたのは2009年。「早川ブルー」と呼ばれる鮮やかな青色が人気だったといい、板にじか描きする現代の手法とは異なり、キャンバス地に描かれているのも特徴とされる。銭湯の解体以降、同倉庫で膠(にかわ)と和紙で養生された状態で保管されていた。

 当時、博物館のリニューアルを控えていた富士市が同銭湯の廃業を知らせる新聞記事をきっかけに、「富士山ペンキ絵を展示したい」と元オーナーの山田義雄さんに連絡。当時、同銭湯の保存活動を行っていた文京建築会ユースを山田さんが紹介したことで、今回の引き渡しが実現した。

 同銭湯のペンキ絵は、男湯と女湯の1枚ずつ(計2枚)が保管されており、1枚が縦およそ2.53メートル、横およそ4.2メートルにもなる。引き渡しに当たっては、昨年から市や県の関係者が視察を重ね、ペンキ絵の状態確認や移送方法などを協議・検討した。

 当日は静岡県と富士市のスタッフら4人が同倉庫を訪れ、同会とともに作業を行った。ペンキ絵は丸めたり折ったりするとペンキがはがれ落ちてしまうため、カッターで3分割して梱包(こんぽう)し、平置きのまま運び出した。当日は、今年3月に閉館した旅館「朝陽館」(本郷1)の天女と富士山が施されたエッチングガラスの引き渡しも同時に行われた。

 引き渡しに立ち会った山田さんのめいの智美さんは「これまで残ってくれてありがとうという気持ち。何より行く先が決まってよかった。博物館ということで、しっかり修復・保管してくれると思うのでありがたい」と話す。

 同ミュージアムの井上卓哉学芸員によると、今後はまず殺虫などのための薫蒸処理を行い、今秋以降に修復作業の段取りを始める。展示できるようになるのは、早くても来夏になる予定。

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