食科学部を持つ日本女子大学(文京区目白台2)で6月20日、食品メーカーのミツカングループ(愛知県半田市)と同大が共同で進める「にっぽん食プロジェクト」のワークショップが開かれた。
同プロジェクトは、両者が多様化する食の価値を若者の視点で捉え直す共創の取り組みとして2022年度に始まり、今年で5年目。「にっぽん食」は、和食や日本食から一歩進み、価値観の多様化とともに変化していくこれからの食を指す造語。料理を「考える」「作る」「食べる」「片付ける」を含めて「ごはん時間」と捉え、その時間を家族や友人と分かち合うことで人と人をつなぐことを掲げ、昨年度からは「若者の調理の入り口づくり」をテーマにする。
ワークショップでは、調理経験の浅い食科学科1年生が、過去4年間に卒業生が考案した42品のレシピの中から「作ってみたい」と選んだ9品を調理した。サツマイモとシラスのおにぎり、春野菜のアクアパッツァ、ネギみそご飯、パッタイなどを次々と仕上げ、試食では前後の班がペアになって料理を交換した。
冒頭では、本年度の「にっぽん食プロジェクト」を担当する4年生が、1年生の調理経験や食習慣に関するアンケート結果を発表。調理後のアンケートでは、調理から試食、片付けまでの各工程で、学生が何を感じ、どこでつまずくのかを聞き取った。
同科4年の竹市萌花さんは「先輩たちが積み重ねてきたものを受け継ぎ、研究室の外にいる若者にも、『にっぽん食』を通して調理を楽しんでもらいたい」と話す。調理に挑戦した1年生からは「思ったより簡単に作れた」「地元の食材を使ったレシピにも挑戦したい」などの声が聞かれた。
4年間プロジェクトを主導してきた同大食科学部食科学科の飯田文子教授は「一般的には調理離れと言われるが、食科学を目指す学生たちは料理が好き。おいしいものを食べて、もう一度食べたいと思った時に、人は自発的に作りたいと思う」と話す。簡便さを重視して考えられたレシピを、あえて慣れていない1年生に作ってもらった狙いを「本当に簡単に作れるのかを実証したかった」と説明する。
ミツカン・スタマーリレーション部長の亀山勝幸さんは「若年層の食の感覚やニーズは、その世代にしか分からない。学生と一緒に考える過程で得られる情報は貴重」と話す。調味料市場が縮小する中、幅広い世代に調理を受け継いでもらう必要性にも言及。「楽しく、おいしく、健康的な食事づくりを始めるきっかけを若い世代に提供していきたい」と話す。
ワークショップで得られた気づきは、本年度のレシピ開発や来年度以降の活動に生かすという。