日本女子大学目白キャンパス(文京区目白台2)内の大学博物館「成瀬記念館」で9月24日、「豊明小学校・幼稚園120周年記念展」が始まった。付属小学校と幼稚園の120年を、資料と現在の様子からたどる。
前身の日本女子大学校は1906(明治39)年4月、教育学部の開設に合わせて小学校と幼稚園を設けた。評議員の森村市左衛門が設立した「森村豊明会」の寄付で、幼稚園から大学までの一貫教育が実現した。
同館学芸員の是恒香琳(これつね・かりん)さんが「特に見てほしい」と挙げるのは、創立者の成瀬仁蔵が多くの書き込みを残したジョン・デューイの著書「学校と社会」(1900年)。アメリカの哲学者デューイは詰め込み型の教育を批判し、体を動かして作業する「手工教育」を重んじた。成瀬も知識を外から覚え込ませる教育に疑問を持ち、「自学自動」を掲げた。成瀬はデューイの説と自身の考えに通じる点があるとして、自信を持って手工教育を教育方針に据えたという。是恒さんは「当時の私立学校に幼稚園から大学までの一貫教育はなく、本校園はその先駆け。この本は成瀬が目指した一貫校の原点を示す」と話す。
この理念の下、幼稚園では初代主任の甲賀ふじが、小学校では河野清丸が日記教育などを実践した。天野蝶によるリトミックや校外学習も紹介する。甲賀の「保育日誌」や大型積み木、大正期に上級生から1年生へ贈られた「五つの訓(おしえ)カード」も並べる。
展示パネルの一部は、同館で博物館実習に取り組む学生が校長と園長に話を聞いて制作した。小学校では絵日記に始まり、6年間日記を書き続ける。教員は赤ペンで返事を書く。幼稚園では、子どもが紙やテープ、空き箱で自由におもちゃを作って遊ぶ。制作に参加した学生の一人は「調べた内容を伝えることと、相手の理解につなげることには大きな隔たりがあると気付いた」と振り返る。
開館時間は10時~16時30分(土曜は12時まで)。日曜・月曜・祝日休館。入館無料。12月19日まで。