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千駄木の森鴎外記念館で「1915-16」展 100年前の鴎外と時代を見る

森鴎外自筆の「当用日記」

森鴎外自筆の「当用日記」

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 千駄木の森鴎外記念館(文京区千駄木1)で現在、コレクション展「1915-16 -100年前の鴎外とその時代」が開催されている。

1915(大正4)年ごろの鴎外

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 鴎外が陸軍からの引退を表明し退官するまでの1915(大正4)年~1916(大正5)年に焦点を当てた同展。35年間勤めた陸軍からの引退のほか、母・峰子の死、夏目漱石や上田敏ら同時代の文人との死別など鴎外にとっては大きな転換期となった時代を、当時の新聞記事と共に日記、書簡、原稿などから探る。

 同展では鴎外の生きた時代の背景や出来事を併せて知ってほしいと、鴎外に関する記事が載っている新聞紙面をそのまま展示。「雁」「沙羅の木」といった1915(大正4)年~1916(大正5)年に出版された鴎外作品とその新聞広告も展示され、鴎外の著作と同時期に出版された文学作品を併せて知ることができる。

 同時代、鴎外は「高瀬舟」や「山椒(さんしょう)大夫」といった歴史小説から「渋江抽斎」「伊澤蘭軒」といった史伝の執筆へと移っていった時代だといい、同展では「渋江抽斎」などの小説も当時の掲載紙面もそのまま展示する。

 鴎外の陸軍から退官するという報道は、鴎外の日記によると1915(大正4)年9月16日の「婦女通信」の記事だとされる。今回の展示では、その記事を見た記者たちが翌日に鴎外の元へ詰め掛けた様子を伝える新聞記事を展示する。「婦女通信」の記事については「現在も資料として見つかっておらず、見つかれば大発見」と同館学芸員の東聡子さんは言う。

 これらの記事は鴎外が自身の「当用日記」で正式に辞意を表明する2カ月ほど前のもので、東さんは「当時、スクープ記事として掲載されたことがうかがえる」と話す。鴎外自筆の「当用日記」は同展で公開している。

 東さんは「鴎外が度々新聞に登場していたのは、文人のみならず官の側面を持っていたから。鴎外がどういう時代を生きてきたのか。その中でどんな作品を書いていたのか。少しでも興味を持っていただければ」と話す。

 開館時間は10時~18時(最終入館17時30分)。3月22日は休館。観覧料は一般300円(中学生以下無料)。4月3日まで。3月9日・23日の14時からは学芸員によるギャラリートークを開く。

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